キヤノンIXY200 スマホに負けない「謎多きコンデジ」使ってみた

キヤノンIXY200

「正確な購買層がつかめない謎多きカメラ」 。カメラ専門販売店の担当者がそうつぶやくカメラがあります。スマホ全盛の時代にネット販売が好調なコンパクトデジカメ「キヤノンIXY200」です。

ミラーレス押しのけ、上位に食い込むIXY200

カメラ専門店・マップカメラ(新宿区)の「2019年5月 新品・中古デジタルカメラ人気ランキング」では総合2位。トップはミラーレスの人気機種・ソニーα7IIIですが、その他のツワモノを押しのけて堂々たる順位です。

しかも今年1月にランクインからランキングの常連となり、2位は2月以来の再浮上。 担当者も「店頭での販売はあまりなく、ほとんどがインターネットでの販売なので、正確な購買層がつかめない謎多きカメラです」と驚きを隠しません。

大手の家電通販の「コンパクトデジタルカメラ 人気売れ筋ランキング」でも堂々1位を誇っています。その「謎の魅力」はどこにあるのでしょうか。

キヤノン IXY200:概要

サクサク切れるシャッターに括目

筆者自身、実はコンデジを何日も触るのはほぼ5年ぶり。そのせいか、ちょっとIXY200を見くびってました。スマホに圧倒される時代に生き残るコンデジは、レスポンスも磨かれていて、サクサク切れるシャッターになっていました。

お散歩カメラとしては「安心オート」で十分です。まずは普段の散歩コースに持ち出して花を探してみましたが、軽快さが心地よく、ついシャッターを切り過ぎました。

※撮影はカメラまかせで撮れる「安心オート」モードをメインに設定しています。作例はあえて手持ちのみで撮影しており、画像処理ソフトで露出は多少いじっていますが、シャープネス処理はかけていません。

忘れ草とも呼ばれるヤブカンゾウ(藪萱草)

オレンジ色が映えて美しい。モード:オート、5.0mm(5.0-40.0mm)、F3.2、1/400、ISO100

川辺に生えるカンナ

広角端で撮影。雨上がりのしっとりとした感じも写し取る。モード:オート、5.0mm(5.0-40.0mm)、F3.2、1/400、ISO100

ズームが効く、光学8倍 35ミリ換算224mm相当

撮像素子は、コンパクトデジカメで主流となっている1/2.3型CCDで有効画素数が約2,000万画素。レンズは、ビデオカメラのように望遠倍率でいうと「光学8倍ズーム」。35ミリ換算で広角28mm~望遠約224mm相当までズームが効きます。街歩きや公園で、花を愛でる写真を撮るには十分です。

スマホもズームができる時代ですが、iPhoneのズームは2つのカメラを切り替えてつなぐハイブリッドな2倍ズーム。デジタルで10倍まで伸びます。Androidでもこのタイプが主流です。

小型望遠鏡みたいなズームレンズをつける方法もありますが、取り付けに手間がかかり、持ち運びがちょっと面倒です。3つや4つのレンズを切り替えて10倍ズームになるAndroidスマホは、SIMフリーで10万円超と高額。

旅行先などではここから先入れないという名所も多く、アップで撮りたい被写体が結構多いのも事実。ズームはコンデジに任せるのがベターです。

さらにキヤノンが「プログレッシブファインズーム」と呼ぶ、画像の粗さが目立たないデジタルズーム領域で16倍。デジタルズームは最大32倍まで伸びます。このカメラには「デジタルIS」という、ブレを抑えるモードはありますが、光学手ブレ補正機能は搭載していないために、高倍率ズーム域は比較的手ブレが生じやすいです。

またデジタルズームは画像の粗さも見えてきますので、人物などノイズが気になる被写体では、極力光学8倍ズームまでに抑えておいた方がいいでしょう。

空を見上げるタチアオイ(立葵)

梅雨を知らせる花と言われるタチアオイ。撮影は7月初頭なので蕾をたくさん抱えています。モード:オート、40.0mm(5.0-40.0mm)、F6.9、1/250、ISO250

川辺にたたずむカルガモ(軽鴨)

光沢ある青い翼鏡が美しい。モード:オート、40.0mm(5.0-40.0mm)、F6.9、1/250、ISO400

棒にとまるカワセミ(翡翠)

運良くカワセミに遭遇したので16倍ズームで撮影しました。ノイズが少し厳しいですね。モード:オート、40.0mm(5.0-40.0mm デジタルズーム2倍)、F6.9、1/250、ISO400

スナップ撮影に最適

今回は東京・三鷹市の吉祥寺駅近くにある「井の頭恩賜公園」に持ち出して、観光気分でモデルさんの撮影をしてみました。

「井の頭弁財天」の手水

モデルはシンガーソングライターのYUNAさん(22)です。「弁財天の手水は冷たい」とはしゃぐところをパチリ。モード:オート、5.0mm(5.0-40.0mm)、F3.2、1/60、ISO200

モネ感ある池を背景に

7万トンの水を全部抜いて池を干す「かいぼり」の成果で、「モネ感」が高まったとされる池を背景に。木々の緑と池に生える絶滅危惧種「イノカシラフラスコモ」などの競演が美しいのです。モード:オート、5.0mm(5.0-40.0mm)、F3.2、1/60、ISO200

神田川源流に近い池の東端付近

明暗差の激しい被写体ですが、拡大でもしない限り、思いのほか境目に偽色は極端には目立ちません。池のかいぼりの成果は素晴らしいですね。茶色に濁っていた池はすっかり別物に変わっています。モード:オート、5.0mm(5.0-40.0mm)、F3.2、1/60、ISO200

伝統のおしゃれなIXYデザインを踏襲

IXY200正面

「IXY」のデザインは、1996年に発売されたAPSフィルムカメラのころから「ボックス&サークル」という特徴的なデザインを踏襲しています。

直線的でスタイリッシュな箱形シェイプに、レンズ周辺の同心円上の縁取りが特徴。デジタルカメラになったIXYは、2000年にステンレス合金のボディをまとい「IXYデジタル」として登場しました。
カメラらしいスマートさをまとったデザインは、街中でのスマートな撮影に向いています。

コンデジらしく軽すぎるくらい軽く

本体の重さは約111g。SDカードやバッテリーを積んでも130gにも満たないのは、コンデジの強み。実はスマホと比較しても、iPhone8(148g)やGoogle Pixel 3a(147g)よりも軽いのです。

幅・高さ・奥行きは、95.3×56.8×23.6mm。一般的な名刺を100枚束にすると、91.0×55.0×25.0mm程度なので、ほんの少し長いくらいだとイメージすると分かりやすいかもしれません。

バッテリーの持ちもよく、5時間くらい撮影で電源の入り切りを繰り返し、ストロボも何度か使いましたが、途中で電池が切れることはありませんでした。モバイルバッテリーから充電はできないので、旅行の際は予備のバッテリーの購入をおすすめします。

ポチりやすい手ごろな販売価格

IXY200 液晶モニター側

IXY200は、コンパクトデジカメの中でも初心者ユーザー向けのカテゴリー。それだけに値段もお手頃で、価格比較サイトなどによると、ネットでの販売価格は1万円前後。

口コミサイトには、「修学旅行用のカメラに最適でしょうか?」などの質問もありました。スマホは持ち込み禁止だがカメラはOKという学校なら「旅行の記録を残したい」という中高生の希望を叶えたい親御さんのお財布にも優しい価格帯です。

IXY200には、被写体の人数をカメラが判断して、自動でズームイン・アウトをする機能があります。カメラを向けるだけで、最適な構図になるよう自動でズームインを行い、顔を検出するという機能もあります。

弱点は省略された通信機能

京王井の頭線の高架

YUNAさんに今風の子らしいポーズをしてもらおうと思いましたが、タイミングが合わず。コミカルなので残してみました。こういうときは連写が必要ですね。IXY200では頑張ってシャッターボタンを何度も押してください。モード:オート、5.0mm(5.0-40.0mm)、F3.2、1/80、ISO200

価格を追求したために、省略されている機能もあります。撮影したデータは、スマホに転送してアプリで画像処理して遊んでみたいところですが、Wi-Fiなどの通信機能はありません。別途お使いのスマホに適したUSBカードリーダーを購入して、スマホと直結し読み込ませる必要があります。

手軽に通信をしたい場合は、上位機種にあたるIXY210(実売16,000円前後)には搭載されているので、そちらを選んでみるのも手でしょう。IXY210はWi-Fi・NFC対応、光学10倍ズームと光学手ブレ補正(IS)もあるので、数千円の差に悩んでしまうかもしれません。

椅子でくつろぐYUNAさん

案内所によると、7月初旬の井の頭恩賜公園はちょうど花が途切れる時期。花を探して歩いてみたのですが、ユリはまだでアジサイは終わり。歩き疲れてちょっと休憩です。モード:オート、5.0mm(5.0-40.0mm)、F3.2、1/125、ISO200

マップカメラの担当者に改めて購買層を尋ねました。「必要最低限の機能でわかりやすいために、お子様やご高齢の方の方にも好まれ、毎日持ち歩いてのチョイ撮りに使われている方も多いようです。また会社のイベントでの景品目的で買われる方も多くみられます」

販売元のキヤノンマーケティングジャパンによると、「『写真を撮るなら、スマホや携帯ではなくカメラで』と、年配の男性が買い替えで購入されています。メイン機としての使用が多く、撮影目的はレジャーや旅行、趣味、家族のスナップが主で、仕事用も1割程度を占めています」とのことです。

レスポンスの良さが、効率を求められる業務用途にも効いているのではないでしょうか。

<評価>

◎よくできました◎
低価格のコンデジなのに、切れ味のよいシャッター。
軽さと相まって、軽快なスナップ撮影に向いています。

△がんばりましょう△
スマホと連動するためのWi-FiやNFCなど通信機能が省略されていること。
SNSに投稿するには、SDカードリーダーが別途必要です。

撮影モデル:YUNAさん(長野県長野市出身)
22才のシンガーソングライター。
公式サイトにはライブ情報も掲載しています。

 

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