【古民家で暮らそう!:03】ついに巡り合えたボロボロの古民家

サビだらけだった母屋の屋根

住みたいエリアが決まったので、何度か自分で運転をして多可町を訪問していましたが、不動産屋さんの車で実際の物件を案内してもらうのは、かなりワクワクする瞬間です。私は子どもの頃からあちこち転居した経験がありますし、海外にも住んでいたので慣れているとはいえ、今後の人生を左右するかもしれない家との出会いは心躍ります。

【連載】古民家で暮らそう!

町内を南北に縦断する国道427号を北上し、加美区の三谷という集落に到着しました。集落に入っていく国道には千ヶ峰登山口という看板があり、その案内のとおり、集落の背後に1005mの山がそびえ立つ美しい村です。田んぼの周囲にはきれいな水が流れる水路があって、野菜の無人販売所の小屋がいくつか建っていました。

私は住んだことはないのですが、父の生まれ故郷である鳥取県三朝町の山奥の実家にも、こうした水路があって、帰省したときには隣の川で泳ぐことができましたので、まさに理想的な環境のように思えました。

国道から三谷集落を望む

少し集落の奥に入って行くと、ネットの写真で見たとおりの、茅葺きの上にトタンを貼った古民家に到着しました。

家財道具が放置された古民家

家主の代理で別の不動産屋さんがすでに来ておられて、中を案内してくれましたが、家財道具がそのまま放置されている状態でした。母屋の壁には先祖の写真がずらっと飾られていて、畳の部屋はいずれの場所もゆっくり歩かなければ踏み抜いてしまいそうなほどブカブカしていました。

また、奥の部屋はどうやったらそんな状況になるのか…というほどの散らかりよう。おそらく家主が亡くなった後に、家財道具の中に貴重品がないか、タンスの引き出しをすべて抜き出して調べ、そのまま放置したのではないかと思われます。

ただ、不動産屋さんの話によると、こうした残置物の撤去と廃棄の費用は売り主負担になるとのことで、安心しました。

見学当初の室内

古民家の典型的な「田の字作り」に加えて、台所と収納庫があって、母屋と離れを後からつなげたような構造で、離れ部分に風呂とトイレが2つ、和室と屋根裏部屋があり、増築したプレハブ小屋と納屋も付いていました。

風呂は掃除をすればそのまま使えそうでしたが、脱衣所にはイタチかタヌキと思われる糞が山積みになっていましたし、ボイラーは交換しないと使えないとのこと。幸い下水はつながっていましたが、トイレの便器が破損していて、交換しないといけないようでした。

見学当初の室内

母屋と離れを無理矢理つないだひさしの下部分にあった台所は、まったく使い物にならない状態でしたので、この場所にキッチンを造るのは最初から無理があると感じました。

庭全体を覆い、玄関の前に建っている巨大な倉庫の解体には、結構な費用がかかりそうでしたし、少なくとも屋根のトタンは、サビを落として塗り直さなければなりません。茅葺きの三角屋根なので足場を組まなければ登ることができず、これは素人にはできない作業です。

全体がボロなので、どこまで改修業者に依頼をするのかは予算次第ということになりますが、我が家は個人事業主ですので、基本的には住宅ローンを組むことはできません。なので現金一括で家を購入しなければならず、必然的に改修費用に回せる金額は少なくなります。もちろん仕事の事業資金も残しておかなければいけません。

サビだらけだった母屋の屋根

しかし、素人目に見ても家の躯体はしっかりしていましたし、柱などが傾いたり、雨漏りをしているような箇所も見受けられません。「この家はなんとかできそうな気がする」というのが私の第一印象でしたが、妻は「ここは無いな…」と思ったそうです。

家の周りには隣接している家が、畑を挟んで1軒しかありませんでしたし、家の前にはきれいな水の小川が流れていましたので、とにかくこの立地がとても気に入りました。

庭には大きな実山椒の木が2本生えていました。これは地味に嬉しいオプションです。都心部で実山椒を購入するととても高いのです(後に、実山椒摘みは楽しいけど、枝取りがものすごく大変なので高価なのだと気が付くことになりますが)。

背中を押した不動産屋の一言

自宅前を流れる小川

「この家の前の川は、初夏にはホタルが飛ぶんですよね〜」

私の中では、最初から「この家が良いな」という漠然とした思いはありましたが、帰り際に不動産屋さんがポロッと言った一言で、「ここにしよう!」と決心しました。

田舎の人にとってみると、ホタルなんて珍しくもないかもしれませんが、私にとってはホタルが舞い飛ぶ環境の中で生活ができるということが、とても贅沢な暮らしのように感じました。

帰りの車の中で、妻に「オレ、気に入ったかも!」と伝えると、妻は「エ〜、ホンマに!?」と驚いていましたが、まだ自分の家になったわけでもないにもかかわらず、あそことここは撤去して、こっちはこんなふうに造り変えて…と空想をめぐらせ、どうやれば自分の理想の家に造り変えていけるのかを、頭の中で考え始めていました。

 

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