「フレンチ天ぷら」異色の出会いでワインと洋食を気軽に(ふらり酒歩き)

牛の赤身の天ぷら(700円)

「フレンチx天ぷら」。こんなのれんがかかった店「On y va!」(オニヴァ)が、東京のJR駒込駅前にあります。常識破りの組み合わせですが、「洋食を気軽に楽しんでほしい」という店主のこだわりが、メニューの随所ににじんでいます。

「オニヴァ」ののれん

「オニヴァ」はフランス語で「さあ行こう!」という意味。店の外からは、鰻の寝床のような細長い店内が見えます。中はL字型になっていて、カウンターのみ9席。ひとりでふらりと立ち寄るにはうってつけの店です。

普段使いの感覚で楽しめる洋食を

店内はカウンターのみ9席

店主の玉井良宏さん(38)は愛媛県出身。大学を中退し、将来を迷っていたある日、自作のチャーハンを友人に誉められたことで、本格的な料理の道を志しました。「知らない料理を先入観なく基礎から学びたい」と、大阪の調理専門学校のフランス・イタリア料理コースに入学し、フランスへ1年間、料理留学に。

「僕は自分で食べたものしか作れないんで」と、星つきレストランから友人のお母さんの家庭料理まで、修行のために食べまくる日々。1回の食事に3~4時間かけるフランス人の食へのこだわりに圧倒されたと言います。

玉井良宏さん

一方で「美食のイメージがあるフランス人も、三つ星レストランに行かない人は多い。定食屋みたいに気軽に入れる『ビストロ』が町中にある。普段使いの感覚で洋食やワインを楽しめる店って、日本にあまりないな。そういう店があってもいいなと感じました」。

帰国後、都内のホテルの厨房や居酒屋に勤務して独立。昨年5月に現在の店を開きました。

「とんがったことをやらないと」

なぜ駒込?

それにしても、なぜ駒込?

「独立のタイミングでたまたま紹介された物件だったんですが、フランスのレストランガイド『ミシュラン』の掲載基準は『遠くへ出かけても食べたい店』。地元の人に愛されつつ、遠くの人にも来て欲しい。まして山手線内、ここでダメならどこでやっても一緒。ここで勝負しようと思ったんです」

とはいえ、「遠くの人に来てもらうためには、とんがったことをやらないと。今まで食べたことのない料理を作ろう」と考え抜いたのが、フレンチと天ぷらの組み合わせ。

「フレンチの技法でアレンジした和食なら、日本人の舌にもなじみやすい。天ぷらの技法を使うことで、小さなポーションで洋食をリーズナブルに楽しんでもらえる」。目指したのは、大阪の串揚げや焼き鳥のイメージでした。

和のテイストに洋のアクセント

前菜盛り合わせ(890円、税抜き)。左上から時計回りに、生ハムエシャレットのバジル酢味噌和え、洋風浅漬け、燻製ポテトサラダ、レバーコンフィ、マッシュルームのバルサミコ和え

まずは店主おまかせの前菜盛り合わせ(890円、税抜き)。野菜が多めで一見、和食のようですが、「生ハムエシャレットのバジル酢味噌和え」は、西京味噌に白ワインビネガーをブレンドし、バジル、粒マスタードを和えた酢味噌を沿えています。日本人になじんだ和のテイストに、洋のアレンジがアクセントになっています。

コンソメ大根の天ぷら(350円)

天ぷらはアラカルト。まずは店主一押しの「コンソメ大根」(350円)。鶏ガラと鶏ミンチ肉でとったコンソメで、大根を煮込み、さらに揚げています。付け合わせのコンソメスープは、くせのないマイルドな味。だし文化になじんだ日本人の舌に合います。

コンソメ大根をパルメザンチーズにつけて

日本のおでんを思わせるけど、食べたことのない不思議な味。付け合わせのパルメザンチーズをつけたり、コンソメスープにくぐらせたりすると、味の変化が楽しめます。

ポルチーニのリゾットの天ぷら(400円)

ポルチーニのリゾットの天ぷら(400円)。外側はカリッ、中はトロッ。焼きおにぎりに近いのでしょうか。これも未体験ゾーンの食感です。

牛の赤身の天ぷら(700円)

牛の赤身(700円)。ランプ(もも肉)を塩だけで下味をつけています。じんわり柔らかい肉を嚙むと、じゅわっとした肉汁とほんのり塩味が口の中に広がります。お好みで塩コショウをつけても。

レバーコンフィの天ぷら(590円)

レバーコンフィ(590円)。鶏レバーを低温の油で煮て、油ごと漬け込んだ保存食。ニンニクやハーブの香りが効いた濃厚な味わい。赤ワインが進みます。

下ごしらえ、味付けしっかり

よく見ると、一品一品、下ごしらえや味付けにたっぷり時間をかけていることが分かります。コンソメスープなら、鶏ガラを炊いてブイヨンを作り、ミンチ肉を加えてさらに煮込み、冷やして、漉して、また温めて、といった具合に。

コンソメスープを漉す玉井さん

「フランス料理って、付け合わせ一つとっても、メインディッシュにできるくらい味付けに手が込んでいて美味しいものが多い。それが積み重なって一つ一つの料理になる。これこそフレンチの基本だと、僕は思ってます」

「とにかくお客さんに喜んでもらえるものを作りたい」と話す玉井さん。メニューは季節や仕入れによって大きく変わります。お客さんの注文にもできるだけ応えており「ゆくゆくは、お客さんのご希望に合わせて、完全におまかせで作るスタイルもやってみたい」とのこと。

フレンチ天ぷら「オニヴァ」の牛赤身の天ぷら

<住所>
東京都北区中里1-6-4 ラガール駒込109

<営業時間>
17:30~1:00(LO.23:00)
店休日:日曜(予約は応相談)

<ご予約・お問い合わせ>
03-3828-9090

 

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