【古民家で暮らそう!04】引っ越し準備、まずは床と屋根をやり直し

床下は、根太と大引きを含めてすべて作り直してもらった

ついに住む場所と購入する古民家が決まったので、不動産屋を通して購入の手続きをして、この家が我が家のものになったのは2013年6月末のことでした。

【連載】古民家で暮らそう!

しかし、購入したからといってすぐに住めるわけではありません。引っ越し前にある程度「住める」状態にしなければ、後で大変なことになってしまいます。特に、床がブカブカの状態で、いつ底が抜けるかわからないままでは、引っ越しの段ボール箱も置くことができません。

なので、我が家の実際の引っ越しは契約から2カ月後の8月末と目標を定めて、素人では無理だろうと思われる箇所と、できるだけ早くやってもらいたい部分に関しては地元の工務店にお願いすることにしました。

庭に巨大な農機具庫が建っていた。不要な建物があると、余計な撤去費用がかかる

床は全面やり直し

まず、庭に建っている巨大な農機具倉庫と、母屋の周りに立っていたブロック塀の撤去。これらがあるために玄関先や裏庭が陰になって風通しが悪く、何より我が家は農業をするわけではないので必要のない建物でした。

もうひとつは、サビだらけの屋根の塗り替え作業。素人がやってもうまくサビが落とせないでしょうし、足場を組まないと危険なのでお願いすることにしました。屋根がダメだと雨漏りをして家中が次々に損傷を受ける部分ですので、きちんとやっておかなければいけません。幸い、トタンを張り替えなくても塗り替えだけで何とか大丈夫でしたので安心しました。

そして、母屋とプレハブ小屋部分の床の全面やり直し。我が家はもともとたくさん人が来る家でしたし、きっと新居でもそういった生活スタイルになると思っていたので、重量がかかる床はプロにお願いすることにしました。

床が出来上がらないと引っ越しもできませんので、他の部分は私たちが越して来てからでも作業をしてもらうことにして、まずは床の構造そのものから造り変えていただくことになりました。

床下は、根太と大引きを含めてすべて作り直してもらった

一瞬、ちょっとした別荘気分

家の購入後は鍵も引き渡され、いつでも出入りができるようになりましたので、6月から8月末までは家が2つある状態になり、ちょっとした別荘気分を味わうことができました。

今思うと、どうせ床を全部撤去してホコリが舞い上がるので、この時点で掃除などをしてもあまり意味がなかったのですが、なんだかじっと待っているだけでは落ち着かず、仕事の合間にときどき多可町に通って、掃除機をかけたり天井の蜘蛛の巣を撤去したりしているうちに、少しずつ「自分の家」という実感を持つことができるようになってきました。

田舎の家は柱のあちこちに釘がたくさん打ってあり、家中で500本は刺さっていたのではないかというほどの数を抜きました。当初はもっと頻繁に通って別荘生活を味わいたかったのですが、往復4時間の距離を行ったり来たりするのはなかなか大変で、数えるほどしか通うことができませんでした。

土壁の土落としと蜘蛛の巣の除去

旧居の「終活」

さて、移住に際して大変なのは新居の準備だけではありません。引っ越しで持っていくものと廃棄するものの選別。そして我が家には当時、犬1匹と猫3匹がいましたので、猫たちがボロボロにした壁や柱などの修復を行わなければいけません。室内で複数のペット可の物件でしたが、猫たちに引っ掻かれてかなり悲惨なことになっている部分がいくつかありました。

敷金を最初に33万円預けており、できれば少しでも返ってきたらいいな…と思っていましたので、退去の日までに何とかそれらを自分で修復を行うことにしました。完了後はほぼ新品状態になり、敷金は全額返ってくることになりました。

しかし、我が家が退去した後に、結局この家は取り壊しになってしまったようです。30歳でNPO法人を立ち上げて事務所代わりに使っていたことや、31歳にして初めて会社勤めをすることになったこと、35歳でJR福知山線脱線事故に巻き込まれて、いろんな負傷者や遺族、記者などが来てくれて濃密な時間を過ごした思い出深い家でしたので、家が壊されて更地になったのを見るのはなんとも寂しいものがありました。

猫たちにやられた壁と柱などの補修

引っ越しの荷物整理はさらに大変で、広い家でしたのでここに住んでいた13年の間に、さまざまな物が増えてしまいました。特に我が家はふたりとも音楽をするので、楽譜やCDがたくさんあって、本や脱線事故関係の資料や新聞の切り抜きなどの紙類も山のようにありました。

CDに関しては、ほぼすべてパソコンの中に取り込んで管理しているので、iPodでしか聞くことはありませんし、事故関係の資料などは再度読み返すことがあるのだろうか…という気もしましたが、終活をするにはまだ早すぎると思ったので、できるだけ持っていくようにしました。

引っ越しをするたびに毎回思いますが、犬や猫たちは、自分の身一つで夏も冬も同じ格好で過ごして生きていけるのに、人間とはなんと多くの物に囲まれていないと生きていくことができない生き物なのだろうと感じます。

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