オリックス「自分磨き」社員に年6万円支給 働き方改革が生んだ制度とは

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「ひとり時間を楽しむ」をテーマに掲げるウェブメディア「DANRO」は7月31日、「いま攻略すべき『ひとり時間』」と題した企業向けセミナーを開催しました。

結婚せずにひとり暮らしを続ける独身者、働き方改革による残業時間削減など、ライフスタイルの多様化で増える「ひとり時間」にどんなビジネスチャンスがあるのか。「働き方改革」で先駆的な取り組みを続けるオリックスの事例が報告されました。南部幸久・オリックスグループ人事部長の講演内容を紹介します。

講演する南部幸久・オリックスグループ人事部長

プロ野球球団やレンタカーで知られるオリックスは、リース業や銀行、不動産、生命保険、電力、水族館などさまざまな事業を展開しており、約3万2000人の従業員を抱えています。「働き方改革」にも全社的に取り組み、国内10社の残業時間は2017年度、前年度に比べおよそ33%減少しました。

「時間×成果を意識しており、生産性についても社員の評価項目にしています。その結果、これまでは多くの社員が18時半ごろに退社していたのが、18時ぐらいになりました」(南部氏)

残業時間を減らして”自分磨き”

残業時間を減らすことで、企業が社員に支払っていた残業代も大幅に削減。その分を社員に還元するため、オリックスでは2018年度から「自分磨き制度」を、グループ主要14社で導入しました。残業削減で生まれた時間を、社員の自己研鑽や健康増進、家庭や仕事の両立のために使えるよう、1人当たり年間6万円まで支給しています。

自分磨き制度の対象は幅広く、語学の習得や資格取得のほか、書籍や新聞の購入、人間ドックやフィットネスクラブ、託児施設や介護施設、家事代行やレンタカーなどの費用にあてることが可能です。

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コーヒーの本格的な淹れ方を学ぶ「コーヒードリップマスター講座」、老後資金の蓄え方や株式投資について学ぶ「マネースクール」、ホームページ作成のための「プログラミング講座」などを受講した社員もいました。

終業後に英会話学校の平日クラスに参加した社員は「かなり質の高い授業を受けられた。受講生も弁護士やコンサル会社の方など専門職の方が多く、英会話以外でも勉強になった」と報告。コーヒードリップマスターの講座を修了した社員は「会社では周囲にもコーヒー好きがいることが分かり、コミュニケーションに役立っている」と感想を報告しました。

「自分を磨くために自己投資をして欲しいと考えており、すでに社員の77%が利用しています。新入社員では、新聞を年間購読する人も多くいました」(同)。範囲を幅広く設定することで、利用者が着実に広がっていったようです。

有休取得で奨励金5万円

夏休みや冬休みなど、長期の休暇取得を促すため、「リフレッシュ休暇」制度も創設。5日(5営業日)以上連続して休暇を取れば、5万円の奨励金を支給しています。有給休暇を使って仕事を休むと、さらにお金がもらえることになります。

この制度を導入した結果、これまで70%台だった有休取得率が、80%台まで増加しました。「上司が有給休暇の取得を許可しないと、『5万円受け取る権利を奪うのか』という話になる」(同)。こうした意識の転換が大きかったといいます。

”○○時に帰ります宣言”で退社時間を告知

残業を減らすためには、時間当たりの生産性を向上させること。そのためには社員の意識改革が必須となります。

オリックスでは会議の時間を短縮するため「資料を事前にメールで共有する」ことや、業務の効率化のため、「メールの返信を外出先でもスマホやノートパソコンから送信できるようにする」などの取り組みを進めました。

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退社のタイミングで仕事を頼まれるケースを避けるため、”今日○○時に帰ります宣言”というルールも作りました。ノートパソコンに「18時で帰ります」と退社時間が書かれた紙をクリップで留め、周囲に退社時間を告知しておく仕組みです。

終業時刻を17時20分から17時へと、20分繰り上げたことも意識改革につながったといいます。「定時が17時20分だと、結局18時ぐらいまで仕事をしてしまう人が多かった」(南部氏)。20分の違いは大きく、子育て中の社員からは「短時間勤務をしなくても、保育園のお迎えに間に合うようになった」という声が聞かれました。

フレックスタイムを導入している会社は、最近は珍しくなくなりましたが、オリックスではその一歩先をいく「スーパーフレックスタイム制度」を導入。旧来のフレックスタイム制度にあった11時〜15時のコアタイムを廃止し、6時〜22時まで、出社時間と退社時間を自由に設定できるようにしました。

また、「社内インターンシップ制度」を作り、希望する部署と日程がマッチングすれば、自分の希望する部署で1週間の就業体験ができるようにしました。就職活動でもインターンシップが一般化しているので、会社内で短期間だけ体験するのは、自身のキャリアを考える上で役立ちそうです。

「アフター5投資」にどう働きかける

DANRO企業向けセミナー「いま攻略すべき『ひとり時間』」の様子

「働き方改革」に企業が本気になって取り組むことは、社員たちの働きやすさの向上にもつながるとみられます。「働きやすさという点でも、社員の満足度は高い状態です。社員の一人ひとりが生き生きと働いて、自分の人生に向き合って生きていけるように、施策を打っていきたい」(同)

同僚との飲み会ではなく、自分自身の勉強や趣味の時間へーー。「アフター5」の過ごし方は着実に変化しています。働き方改革で生まれた時間にどう有意義に投資し、自分の価値の向上に活用するのか。そうした層にどう働きかけていくのかに、今後のビジネスチャンスがあると言えそうです。

 

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