ウラジオストク、女ひとり旅。この街を好きになった7つの理由

写真を撮りたくなるスポットが到るところにあり、街歩きが楽しい

ヨーロッパ圏を旅したい。優美な建築物を見ながら街歩きをしたい。でも、十何時間も飛行機に乗るのがしんどい。そんな人におすすめしたいのが、ロシアの港町ウラジオストクです。

日本海に面していて、緯度は札幌と同じ――日本との位置関係はあまり知られていないかもしれません。この夏、そんなウラジオストクで女ひとり旅をしてきました。

久々に「再訪したい」と思う街に出会えた感覚があります。ここでは、ウラジオストク旅をおすすめしたい理由を7つ、文章と写真でお伝えさせてください。

1.とにかく近い

移動時間が短いのは身体が楽でいい

航空券を手配したときは、成田空港から片道2時間25分と書かれていましたが、行きはわずか1時間40分で到着。東京からだと沖縄よりも近いです。

帰りも2時間かかりませんでした。この移動時間であれば金曜夜に出て、日曜に戻ってくるような、2泊3日の週末旅も負担にはなりません。

2.ロシア料理が庶民価格で絶品

ウラジオストク駅前にあるスタローヴァヤ「リパブリック」

ロシアには「スタローヴァヤ」と呼ばれる大衆食堂があります。日本でいうとファミレスや大学の食堂のような、ふらっと立ち寄りやすい店です。ソ連時代に企業や学校などに設けられた食堂の流れを汲んでいるそう。

これだけ食べても430RUB(日本円で約730円 ※1)

本場ロシア料理を安価で堪能できます。ロシア語が話せなくても問題なく、ショーケースに入ったおかずを指さしてオーダーすればOK。会計時に「ありがとう」の意味の「スパスィーバ」が言えたら問題ないと思います。

老舗スタローヴァヤ「ニルィダイ」の外観。2016年にリニューアルされ、雰囲気は重厚感が漂うけれど、温かい食事をリーズナブルに楽しめる

ウラジオストク駅近くの「リパブリック」と、中心部にある「ニルィダイ」に行きました。ロシアの庶民料理を味わいたいなら、スタローヴァヤ巡りがおすすめです。外観にキリル文字でスタローヴァヤと描かれているのですぐわかります。

ビーツのサラダ(左下)やキュウリの冷製スープ(上)は定番料理のひとつ。野菜や肉の煮込み料理もロシアっぽい

3.ジョージア料理を味わえる

ウラジオストクでは、日本ではまだ珍しいジョージア料理を食べられます。現地で写真館を経営するプロカメラマンで、旅行・映画関連のコーディネート業を行う安達貴さんにガイドを依頼し、人気店「スプラ」に連れていってもらいました。

ウラジオストクを代表する人気店「スプラ」

市街中心部の海辺通り沿いにも1店舗あります(上写真)が、こちらは観光客が多くて予約なしでは入りづらいそう。郊外にある店舗が穴場だといいます。

待っている客にワインを提供してくれるなど、うれしいサービスも。お代わりも可能

さまざまなメニューでエキゾチックな香りが立ちのぼり、味覚を大いに刺激してきた“張本人”は「フメリ・スネリ」というスパイスだと思われます。バジルやローリエ、ミントなどをジョージア風に配合したオリジナルスパイスは独特で、ロシア料理とはまた違う魅力がありました。

とろとろのチーズがたっぷり入っていて、パンの質感は固めなハチャプリ

ジョージアの国民食とも言われる、平たいパン「ハチャプリ」も印象的でした。周りのパンをちぎって、真ん中のくぼみ中に入ったチーズに付けていただきます。

店はとても活気がありました。スタッフたちが15〜20分に1回ほど店内を駆け回り、当日誕生日のお客などをお祝いするシーンは、日本では目にしない賑やかなパフォーマンスだったと思います。見ていて元気をもらえました。

4.オペラやバレエなどの芸術を気軽に鑑賞できる

年間を通してバレエの公演が行われているウラジオストク。2012年に完成した劇場「ロシア国立マリインスキー劇場沿海地方ステージ(以下、マリインスキー沿海州劇場)」が会場となります。

19時に開演したときはまだ明るかったが、幕間の休憩時間に外へ出るとあたりが暗くなり、建物の雰囲気が幻想的に

ウラジオストク市街からはタクシーで10〜15分ほど。市街と対岸を結ぶ金角湾大橋を渡ってすぐのところにある近代的な建物が劇場です。

ひとり旅感が伝わる、ひとり自撮り……。後ろに見えるのが金角湾大橋

チケットは当日券が販売されていれば買えますが、ロシア語で購入手続きをするのはなかなか大変そうです。事前に公式サイトでチケットを手配し、印刷しておいたeチケット(PDF)を窓口で手渡すと、スムーズに会場入りできました。

4階バルコニー席で600RUB(約1020円)。購入時は特別料金(ロシア人向け料金)とフルレート(ロシア人以外の料金)に分かれる

この日はバレエの公演がなかったため、オペラを見ることにしました。上演はロシア語で、英語の字幕が付いています。ロシア語がわからなくても、ストーリーを断片的につかむことはできました。

幕間の休憩時間(20〜30分)は3回あり、それらを含むと約4時間にもなる長丁場の公演ですが、とても新鮮で疲れを感じることはなかったです。旅のコースに組み込むのをおすすめします。

5.建物や街並みが美しい

繊細なスイーツのような建築物

冒頭に記したような、日本―ウラジオストク間の“超・近距離感”を知るまでは、ヨーロッパ圏の街並みを楽しむには、片道十数時間かけて飛行機に乗らないといけない、と思い込んでいました。

飲食店や土産物屋が並ぶ噴水通り

でも、ウラジオストクこそ、ふらっと気軽に訪れることができる、日本から最も近いヨーロッパ。アクセスしやすいアジア圏とはまた異なる、欧風な建物を楽しめるのも、ウラジオストクの魅力です。

6.タクシーが便利で安い

電車やバスも走っているウラジオストクですが、興味本位で路面電車に乗ってみたのを除き、移動はすべてタクシーにしました。というのは、ロシア語の聞き取りも読解もできないので、電車やバスだと意図しない場所まで行ってしまう不安があったからです。

現在地と目的地を入力すると、近くを走っているYandex.Taxiのドライバーを探してくれる

タクシー料金は仰天するほど安いです。配車アプリ「Yandex.Taxi」を使うと、時間帯や距離にもよりますが、最も安価なときは1kmあたり20RUB(ロシアルーブル)程度(約34円)でした。

日本では、よほど急いでいるときや駅から遠く離れた場所へ行くときを除き、タクシーには乗りませんが、ウラジオストクでは「タクシーを積極的に使いたい!」と思えます。

契約ドライバーの数が多いのか、呼ぶと早くて2〜3分、とくにひどく渋滞している時間帯でも10分以内にはドライバーが到着します。ロシア語でコミュニケーションできなくても、あらかじめアプリに提示された金額を払えば何の問題もありません。

ウラジオストク国際空港〜ウラジオストク中心部まで、約50kmの距離を1011RUB(約1700円)で移動できた

7.ロシアの人たちはフレンドリー

今年7月に刊行されたばかりの、最新のウラジオストク情報が豊富な写真と文字で詰まった『ウラジオストクを旅する43の理由』(中村正人/朝日新聞出版 ※2)と旅のロシア語会話集を持っていったものの、前述の「スパスィーバ」、「はい/いいえ」を意味する「ダー/ニェット」くらいしか使えませんでした。

タクシー降車時にこなれた感じで言いたかった、「おつりをとっておいて」を意味する「アスターフィチェ スィビェ ズダーチュウ」が最後の最後まで、本を見ないと発音できなかったのが悔やまれます。

超片言で力みながら「アスターフィチェ スィビェ ズダーチュウ!」と伝えるたびに、ドライバーさんに苦笑いされていましたが、皆総じてフレンドリーでした。

たとえば、翻訳アプリに向かってロシア語を話し、こちらに画面を見せてくれて、英語で会話をしようとしてくれたドライバーさん。そこには英語で「どこから来たのか?」と書かれていました。

「日本、東京から来ました」「日本人は一番きれいだよ」「そう? ロシア人女性もきれいですよ」……と、何でもないやりとりが、目的地へ着くまで続きました。英語が通じない場合、翻訳アプリが会話のハブになるんだなと実感した体験です。

高台を走っていると、ウラジオストク港と入江周辺に建つ工場や家々、金角湾大橋など新旧が融合した街並みをじっくり眺めて楽しめる

中には、「もう少ししたら左を見て。とてもきれいな景色が見えるから」と話しかけてくれたドライバーさんも。

飲食店や街ですれ違うロシアの人々も、親しみを持って接してくれます。「ウラジオストクは温かみのある街だな」という印象を強く持ちました。

2019年8月現在、ウラジオストクに空路と航路で入国する場合に限り、ネット申請のみで電子簡易ビザを取得できるようになっています(※3)。

ビザ取得も簡単で手間がかからず、旅できるのも魅力です。今後の旅行先にウラジオストクも加えてみてはいかがですか。

※1:金額は1RUB=1.71円だった旅行中のレートで計算。

※2:ウラジオストクに限らず、ロシアの旅本はほとんど売っていない。そのため『ウラジオストクを旅する43の理由』には、お世辞抜きにお世話になった。初めて旅するなら1冊持っておくと非常に助かるはず。

※3:8日間限定でロシア沿海地方に滞在可能。2017年8月に開始された。

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