池尻の路地裏に、メニュー豊富なフレンチビストロ(大人のひとり美食)

現在、高級スイーツショップの企画営業ディレクターを務める清水さん。飲食業界に長く携わり、パティシエとしての一面も。(撮影・萩原美寛)

料理専門学校を卒業後、さまざまなフードビジネスに関わった経験を持つ清水理恵さん(41歳)。普段から食に関わっている仕事をしているとあって、おいしいものが大好き。ひとりで行く店は、その時の気分で使い分けていると言います。

【特集】DANROひとり美食

必ず食べたいものがそこにある、間違いのない一軒

現在、紹介制の高級スイーツショップ「LALLA FATIMA」の企画営業ディレクターを務める清水さん。過去にモロッコのカサブランカにあるレストランでシェフパティシエを務めたり、アパレルメーカーの食ブランドの企画・運営に携わったり、三軒茶屋でカフェを経営したりしていた時期もあるといいます。

週に1度以上はひとりで外食しているそうですが、蕎麦店や寿司店でサクッと食べて家に帰ることもあれば、「あれこれと美味しいものを、お酒と一緒に食べたい!」と思って行く店の2パターンに分かれるとか。

今回、後者に当てはまる店として紹介してくれたのは、東京・池尻大橋「ビストロ グルトン」。シェフの小更耕司さんが、星付きレストラン「ジョエル・ロブション」で働いていた時からの知り合いだったそう。

小更シェフは地元・池尻生まれで、辻調理師専門学校を卒業後、都内のフランス料理店で働いた後、フランス東部のブルゴーニュや北西部のブルターニュ、ルクセンブルグで研鑽した経験があります。帰国してから、「ジョエル・ロブション」で10年働き、シェフを務めた後に独立しました。

池尻大橋の駅からほど近い路地裏にある「BISTRO GLOUTON(ビストロ グルトン)。オープンして今年の10月で5年になる。(撮影・萩原美寛)

長年のキャリアから生まれる、本場仕込みの味わい

「三軒茶屋でカフェを経営していた時に、『ジョエル・ロブション』で働いていた友人が紹介してくれたんです。ちょうど、私がモロッコで仕事をしていた時に、独立してこちらの店をオープンされたので、帰国してすぐに伺いました」(清水さん)

普段から外食は圧倒的にフレンチ系という清水さんですが、「とにかく、この店には私の食べたいものがいつもあるんです」とのこと。

「何を食べてもおいしい。ここはビストロ料理ですが、一つ一つの料理がとても丁寧に作られているんです」(清水さん)

黒板には、ニンジンやトマトなどの数種のサラダや、パテ、ポークリエット、カニクリームコロッケ、ビーフやポーク、仔羊のローストや煮込み、パスタやリゾットまでざっと40種類以上。これが定番メニューで、季節のメニューがそのつど増えます。

「お客さまが食べたいものを提供したい」とシェフの小更耕司さん。ワインはソムリエの奥様と一緒に飲みやすいものをセレクト。(撮影・萩原美寛)

小さなキッチンでこんなにたくさんの料理を作るのは大変なのでは? と小更シェフにたずねると、「僕自身、お客さまには食べたいものを食べてほしいと思っていて。なので、コースはやっていません。不思議と僕の店では注文が偏らず、それぞれのお客さまが違ったメニューを注文されるんですよね。だから、どれもやめられないんです(笑)」。

清水さんは今回、「アジと焼きなすのサラダ」、「ガスパチョ」、メインディッシュに「仔羊のロースト」をオーダー。

「お肉が大好きなので、ほぼ毎回、お肉のメインディッシュは頼みます。魚は匂いが気になって家では調理しないので、外食でいただくことが多く、今回は焼きなすと合わせたサラダにしました」(清水さん)

「今は引っ越してしまって、ちょっと遠くなってしまったので、必ず電話をしてから来ます。お席が空いていたらラッキーですね」という清水さん。昔、三軒茶屋でお店をしていた時は近くに住んでいたので、三軒茶屋、三宿、池尻のエリアがどこか落ち着くというのも、通ってしまう理由かもしれません。

焼きなすの香ばしさとアジ、クレソン、わさび菜のコンビネーションが秀逸な「焼きなすとアジのサラダ」(900円・税別)。(撮影・萩原美寛)
「美味しいごはんを食べると、また明日から仕事を頑張ろう!という気持ちになります」と清水さん。(撮影・萩原美寛)
トマトとシェリービネガーの酸味が食欲を増進する「ガスパチョ」。(800円・税別)(撮影・萩原美寛)
オーストラリア産の仔羊は分厚く、食べ応えたっぷり。クリーミーなマッシュポテトと好相性。「仔羊のロースト」(2,600円・税別)。(撮影・萩原美寛)
小更シェフがフランス修行時代に購入したラギオールのカトラリー。「ナイフがいいと、お肉を食べるときに気持ちいいですよね」(清水さん)。(撮影・萩原美寛)
全8席のカウンター。内装は吟味を重ね、椅子や照明、壁の色にもこだわったという。(撮影・萩原美寛)

シェフや客との会話が楽しい

ひとりの時はカウンターがある店なら、必ずカウンターに座るという清水さん。もともと飲食店を経営していたので、万が一ふたり用のテーブルが空いていても、ひとりで占拠してしまうのがもったいないと思ってしまうのだとか。

「ある意味、職業病です(笑)。でもカウンターはキッチンから近いですし、調理をしているのを見るのも楽しい。シェフの手が空いたときに会話しやすいですし。隣り合わせになった方と『この料理おいしいですよ』なんてお話ししたりね」

ワインはフランスのものが中心。シャンパーニュ1,200円、グラスワイン1,000円〜。(撮影・萩原美寛)

「ビストロ グルトン」は、21時以降は女性ひとりのお客さんが多く、仕事帰りに立ち寄って、グラスワインと共に2〜3品食べて帰る方がほとんど。中には週に何度も訪れる女性もいるとか。

知らない同士がカウンターで会話がはずんだり、ボトルワインを分け合ったり、ということも珍しくないと小更シェフは言います。「ふたり用の大きいポーションのメニューでも、ひとり用に作ることができるものもあるから、気軽に聞いてみてください」

ソムリエは妻の亜希子さんが務め、グラスワインはシャンパーニュが1種類、白ワインが2種類、赤ワインが2種類、ロゼワインが開いていることもあります。ブルゴーニュとボルドーのワインが中心で、夏であればすっきり飲めるもの、冬であれば煮込み料理に合いそうなしっかりしたものと、季節によって種類を変えているそうです。

これから秋にかけてポルチーニが、冬にはモン・サン・ミシェル産のムール貝や黒トリュフのリゾットが登場。「黒トリュフは原価度外視で、たっぷりリゾットにかけるんです」(小更シェフ)というから、これはぜひ食べてみたい! こんな店が近所にあったらいいな、と思わずにいられない1軒です。

〈店名〉
BISTRO GLOUTON
ビストロ グルトン

〈住所〉
東京都世田谷区池尻2-33-7

〈営業時間〉
18:00〜24:00(LO.23:00)
店休日・日曜、第3月曜

 

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