前沢牛専門店でひとり焼肉 コスパ抜群、余韻で銀シャリが進むその実力 

「前沢牛舎 伏見屋」の希少部位盛り合わせ

年を重ねるとともに好んで食べなくなったものがある。焼肉の「カルビ」もその一つだ。1人前を完食できるか自信がないほど。脂が多くて、すぐに満腹になってしまうのだ。だから、焼肉はもっぱら赤身ばかりを食べている。

「前沢牛舎 伏見屋」

私が名古屋でいちばん美味しいと思っている焼肉店は、名古屋市中区栄2丁目にある「前沢牛舎 伏見屋」。店名からわかるように、ここは名古屋ではほとんど見かけない、岩手県産のブランド牛、前沢牛の専門店。

郊外の焼肉チェーンと比べると、値は張るものの、高級焼肉店よりはかなりお値打ち。そして、何よりも旨い。私は5年ほど前に取材したのを機に、ちょこちょこと足を運ぶようになった。肉好きの友人と訪れることが多いが、今回はひとり焼肉を決行した。

噛むほどに旨い赤身ロース

この日は珍しく空いていたので、掘りごたつ席に案内された。誰にも気兼ねすることなく、焼肉を堪能できるってもんだ。

「白菜キムチ」(480円)

肉以外で私が必ず注文するのは、「伏見屋サラダ」(700円)のゴマ塩ソースと「白菜キムチ」(480円)だ。「伏見屋サラダ」は、いわゆるチョレギサラダ。味付けはゴマ塩ソースのほか、コチュジャンソースのいずれかを選べる。

「伏見屋サラダ」(700円)のゴマ塩ソース

ゴマの香りと塩加減が絶妙。これをアテに「生ビール」(580円)で喉を潤す。プハーッ! 生き返るぅ。

「白菜キムチ」もつまみたいところだが、しばしガマン。なぜなら、キムチの辛みで前沢牛の繊細な旨みがわからなくなってしまうからだ。「白菜キムチ」が活躍するのはもう少し後。

「前沢牛赤身ロース」(1200円)

では、いよいよ肉! まず、「前沢牛赤身ロース」(1200円)を注文。脂が少なく、前沢牛そのものの味が楽しめる定番の一品だ。それを七輪の炭火で肉を焼き上げる。こんなの、旨いに決まってる。

ミディアムレアから、さらに火が入ったくらいの焼き加減が好み

私はミディアムレアから、さらに少しだけ火が入ったくらいの焼き加減が好み。頃合いを見計らって七輪の上の赤身ロースを引きあげる。タレか塩、またはレモンをつけていただく。

おおっ! 噛むほどにしっかりとした肉の味が広がるではないかっ! これがまたビールに合うんだよなぁ。

キムチとロースを銀シャリにオン

ここで先ほどの「キムチ」の出番。肉の上にキムチをのせて、さらに「銀シャリ」(中・350円)にオン。深めに箸を入れて、たっぷりのご飯をすくって口の中へ。肉の旨みとキムチの辛み、酸味が一つになり、これがもう、悶絶するほど旨い!3切れでご飯を平らげてしまうほどおかずとしてのポテンシャルが高いのである。

断っておくが、これは「上」ではない、「並」のロースである。毎回このレベルの高さには驚かされる。

贅沢すぎる希少部位の三種盛

友人たちと来るときは、「本日の5種盛合せ」(2人前・2880円)を注文する。これはカルビとロース、残り3種は中落ちカルビや肩ロース、上カルビ、上ロースなどが日替わりで盛られる。

「本日の5種盛合せ」(写真は5人前・7200円)

カルビから順番に食べていくのがルール。食べすすむうちにどんどん旨くなり、上ロースなど5品目の肉を食べた後は、もう、並のカルビやロースに戻ることができなくなる。

結果、上ロースを超える世界を体感したくなり、禁断の希少部位を注文してしまう。店の戦略に思いっきりノセられているのはわかっている。旨いから仕方がないのだ。

「本日の希少部位三種盛合せ」(2人前・2480円)

今回はひとり焼肉ということで、「本日の希少部位3種盛合せ」(2人前・2480円)を注文。その名の通り、その日オススメの希少部位3種をおまかせでいただくというもの。もう、最初から希少部位を食ってやるのだ。

この日は、腰からお尻にかけての赤身肉で力強い旨みが楽しめるランプと、肩ロースの中心部分のみを贅沢にカットした肩ロース芯、赤身ながらサシも入る希少部位のイチボ。どれも見るからに旨そうだ。タレがかかっていないので、塩で食べるのがオススメだ。

まずは、ランプを焼いて食らう。うぉぉぉっ! 肉のきめが細かくてムチャクチャやわらかい! これは間違いなく今まで食べた赤身肉の中でピカイチだ。もう、たまらん!

見事なサシが入った肩ロース芯

続いて、見事なサシが入った肩ロース芯。これまで食べた肉の中でもっとも脂が多い。しかし、口の中でスッと溶けていく。口の中には上品すぎる味の余韻が残り、これを生ビールで洗い流すのが惜しくなるほど。

イチボ

最後は、イチボ。実はコレが私の大好物。肉そのものの味と脂の口溶けのバランスがとにかく秀逸なのだ。全神経を集中させて七輪の上にのせたイチボを見守る。焼き上がったイチボにひとつまみ。そして、口の中へ。

くぅぅぅっ! やっぱり、旨いっ! 雄叫びを上げながら天に向かって拳を振り上げたくなる衝動に駆られるが、それができないのがひとり焼肉の哀しさよ。

イチボステーキは圧巻の旨さ

もう少し肉を食いたい。これまで食べたのは、メインとなる肉に到達するまでの序章にすぎなかったのである。さて、どの肉にしようか……。やはり、ここは確実に旨いイチボをステーキでいってみよう!

「前沢牛イチボステーキ」(2180円)

これが「前沢牛イチボステーキ」(2180円)。大きさは11センチほど、厚みは1.2センチほどあるが、しつこくないので余裕で完食できる。味付けはもちろん、塩で。

「まず、塩がかかっている方を焼いてください。焼き上がりましたら、ハサミでカットしてわさび醤油でお召し上がりください」と、店員さん。

「前沢牛イチボステーキ」が焼き上がった

おっ、イイ感じに焼き上がった。ハサミでひと口サイズに切って、いただきます!うーん……。あまりの美味しさに唸ることしかできない。分厚くカットしてあるので、味の伝わり方がまったく違う。前に食べた3種盛のイチボがキレのある左ジャブだとしたら、これはメガトン級の右ストレート。頭がクラクラするほど旨いのである。

肉オン・ザ・ライス

「銀シャリ」をおかわりして、オン・ザ・ライスでいただく。あまりの美味しさに理性を忘れて無我夢中で食べたので、ご飯が少し残ってしまった。でも、口の中に残る余韻もおかずになる。それが前沢牛のポテンシャルなのだ。ご馳走様でした。

 

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