(スター・ウォーズひとり旅)砂漠の真ん中でジェダイの騎士たちに出会う

チュニジア南部 メドニンの風景(撮影:喜久知重比呂)

「スター・ウォーズ」には、ジョージ・ルーカス監督が日本のサムライを基に発想したキャラクターがいる。それは、フォースを操り、悪の帝国と戦う、ジェダイの騎士。

ジェダイという言葉は「時代劇」の「じだい」ではないかという説もある。しかし、私が日本から遠く離れた北アフリカの町で見たのは、意外なジェダイ誕生の秘密だった。

【第1回】ロケ地チュニジアに残る「ひらめき」の源泉

チュニジアひとり旅、今回は「スター・ウォーズ」の衣装にまつわる話。

南部の町メドニンへ

東京・天王洲で開かれている「スター・ウォーズ アイデンティティーズ」には、映画の貴重な衣装が多数展示されている。

スター・ウォーズの衣装 「スター・ウォーズ アインデンティティー」より
スター・ウォーズの衣装 「スター・ウォーズ アインデンティティー」より

「スター・ウォーズ エピソード1 / ファントム・メナス」(1999年公開)の撮影が行われたのは、サハラ沙漠に近いチュニジア南部の町メドニン。チュニジアでロケが行われたのは、1作目「エピソード4 / 新たなる希望」以来、21年ぶりのことだった。

1976年の撮影では、猛烈な暑さ、突然の大雨、砂嵐に悩まされた場所だった。二度とこの地を選ばないのではないかと思うが、チュニジアは、ルーカス監督にとって「スター・ウォーズ」を創造するために不可欠な場所だったのだろう。しかも以前と違いCG技術も発達しているにも関わらず、砂漠でのロケによる実写にこだわっているのだ。

ダース・ベイダーの衣装 「スター・ウォーズ アインデンティティー」より

ルーカス監督がナチス・ドイツをモデルにした帝国軍は、ジェダイと戦いを繰り広げる悪の軍である。率いるのはダース・ベイダー。そのマスクもナチス・ドイツのヘルメットをベースに作られている。

余談だが、チュニジアのメドニンは、第2次世界大戦で、“砂漠の狐”と言われたドイツの指揮官ロンメルがイギリス軍に敗れ、その後アフリカからの撤退につながった場所。

チュニジア南部メドニンの市場(撮影:喜久知重比呂)
チュニジア南部メドニンの市場(撮影:喜久知重比呂)

メドニンは、かつて南部交易の中心地となって栄えた場所。バスを降りて歩いていると、すぐに目の前に、青い扉の小さな部屋が重なり合ったような不思議な建物が現れた。

「奴隷居住区」になったクサール

ベルベル人がかつて砦として使っていたクサール(砦の意味)と呼ばれるものである。日干し煉瓦や石を使い、かなり頑丈にできている。

この場所は、のちにダース・ベイダーとなるアナキン・スカイウォーカー少年が母親と暮らしていた奴隷居住区として登場する。ジェダイ・マスターのクワイ・ガン・ジンとアナキン少年が出会うシーンも、ここで撮影された。

メドニン 歴史的建物ゴルファ (撮影:喜久知重比呂)

この地区の中心には、四方を囲むように、ゴルファと呼ばれる穀物倉庫が建っている。今はお土産店やカフェなどに使われているが、映画では奴隷たちが住む部屋として登場する。

前回紹介したマトマタ同様、「スター・ウォーズ」の世界に入り込んだかのような気分にさせてくれる、ファンにとっては重要な聖地である。

メドニンの歴史的建物クサール(撮影:喜久知重比呂)
メドニンの歴史的建物クサール(撮影:喜久知重比呂)

この衣装は、間違いなく…

ゲームやおしゃべりをしていた男性たちの中に、ジェダイの騎士?を見つけた!

現地の人がまとうフード付きの茶色いマントは、マグルーブと呼ばれ、砂漠の地で直射日光や砂、夜の寒さから身を守ってくれる。砂漠の惑星で隠遁生活をしていたオビ=ワン・ケノービや、主人公ルーク・スカイウォーカーのあの出で立ちは、間違いなくマグルーブが基になっている。

マグルーブを纏うメドニンの男性(撮影:喜久知重比呂)
ジェダイの騎士の衣装「スター・ウォーズ アイデンティティーより」

さらに、チュニジア南部の町で、「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」(1983年公開)に登場した、あのキャラクターの発想の源泉を見つけた。

マグローブを纏うチュニジアの男性(撮影:喜久知重比呂)
マグローブを纏うチュニジアの男性(撮影:喜久知重比呂)

町を歩いていると、あちこちで水パイプを勧められた。その水パイプを燻らせている男性たちの姿に、あのキャラクターが頭に浮かんだ。

水パイプを楽しむチュニジアの男性 撮影:喜久知重比呂)

「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」に登場するジャバ・ザ・ハットである。

ハン・ソロを苦しめる、巨大なガマガエルのような姿をした犯罪組織のボス。砂漠の惑星にある宮殿で、台座に座りながら、チュニジアの男たちのように、水パイプのようなものを咥えている。

ジャバ・ザ・ハットを視覚化するために作られたモデル 「スター・ウォーズ アイデンティティー」より

ちなみに、ジャバは「エピソード4/新たなる希望」では太った俳優が演じる人間の姿だったが、編集でカットとなったため、その外見は「エピソード6/ジェダイの帰還」で改めて作られた。

ジャバ・ザ・ハットのコンセプト・アート 「スター・ウォーズ アイデンティティー展より」

今年の年末には一大イベントが控えている。今シリーズ最終章となる「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」が公開され、スカイウォーカー家の物語が完結する。

40年以上も続く人気シリーズ、チュニジアの歴史と空想テクノロジーの融合が、唯一無二な世界観を生み出し、「スター・ウォーズ」を成功へと導いた一因であることは間違いない。

(「スター・ウォーズ」を巡るチュニジアひとり旅の回顧録は、まだまだ続きます)

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