がん患者は決断の連続!いっそ豊胸したい…(未婚のひとりと一匹と:07)

お医者さんは決めてくれない!

関節炎に歯槽膿漏の元捨て猫だったスコティッシュフォールドのくるみちゃんが「獣医にかかる」という、猫には理解不可能な状況を乗り越えたことに敬意を示し、乳がん検診の再検査に応じた結果、悪性だったコヤナギユウです!(くわしくは連載第3回をご覧くだされ)

【連載】未婚のひとりと一匹と

え? ほんとに? 「悪性」ってがんなの?

だってまったく痛くもかゆくもないし、こんなに元気なのに?

町医者で行った「穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)」の結果、悪性だとわかり、今度はがんがどこかに転移して炎症を起こしていないかなどを調べるために、血液を採られ、帰されました。

その結果を聞きに行くときまでに、手術をする病院を決めておけって言われたけれど、そんな心当たりはありません。

ステージとサブタイプで敵を知れ!

乳がんの病期進行度「ステージ」は大きさとリンパ節への転移有無で決まります。

乳がんの病期ステージ。「微小転移」はステージ1以上なら起こっているという(出典:『適切な治療を受けるために』アストラゼネカ)

また「がん」には性格があるそうです。

増えるのが早いやつ、飛んで拡散するのが得意なやつ、脇の下(リンパ節)フェチのやつ、あと、乳がんだと女性ホルモンの影響を受けるやつなど。これを「サブタイプ」と呼んで治療方針を絞り込むことができます。今回受けたのがこの血液検査です。

大きながんは摘出するしかありませんが、目に見えないくらい小さながんが増えないようにすることも大切。

手術や放射線治療などを「局所療法」、抗がん剤や投薬を「全身治療」といって、検査でそれぞれの見極めをするのです。

抗がん剤はいわば焼き畑農業。疑わしきは罰するの精神でがん細胞をはじめ、さまざまなものを攻撃するため、その副作用のしんどさはご存じの通り。

近年ではがん細胞の性格を見極めて、効くところに効く治療を施そう、というのが一般的だそうです。

乳がんは、女性ホルモンのエストロゲンががん細胞に影響しているので、ホルモン分泌を抑える「ホルモン治療」をするのですが、ホルモンではなくタンパク質がよりどころになっている場合は「分子標的薬」(タンパク質を壊す)を使い、抗がん剤の兼用を検討します。

乳がんのサブタイプ。日本人の乳がん患者の60%はルミナルA型とのこと(出典:『名医が語る最新・最良の治療 乳がん』法研)

正確なステージは手術後の病理検査で決まりますが、事前エコーと血液検査でおおよそ治療方針が分かります。

コヤナギの腫瘍の大きさはおよそ2.5cm。血液検査の結果、炎症が起こっている様子はなく、リンパ節への転移はなさそうだし、女性ホルモン旺盛でホルモン剤が効き、タンパク質は無事だったので「ルミナルA型」です。

つまり、抗がん剤は必要なさそうとのこと。また、進行もとても遅い性格とのこと。よかった!

ステージは「2B」です。

鉛筆だったらけっこう濃いめ! ってそうじゃないぞ。

取る? 残す? ……それとも盛る?

さて、乳がんを見つけてくれた町医者から、手術をする大病院へ紹介状を書いてもらうため、今日までに病院を決めてこいといわれていました。でも、地方出身で今まで東京で大きな病気もしたことがないわたしは、どこがいい病院なのかさっぱり分かりません。

前回、町医者でそう、正直にいうと比較的近所で、手術の順番も早いという大学病院を教えてもらいました。家に帰って少し検索してみたけれど、正直、良し悪しは分かりません。

というか、「乳がん 病院名」とかで検索すれば口コミが出てくるんでしょうけど、いい口コミがあってもわたしが当てはまるか分からないし、悪い口コミなら見たくないし。どこかほかに候補があるわけでもなく、特に深く調べることも、誰かに相談することもなく、薦めてもらった大学病院にすることにしました。

「大学病院に行ったら、また詳しく検査があるとは思いますが、どこまで切るかは考えておいた方がいいですよ。コヤナギさんの腫瘍の大きさの場合、部分切除でもいけると思います。その場合入院は5日程度で済むかと思いますが、退院の後、残った乳房へ再発防止のために放射線治療を受けることになります」

「放射線治療の時間自体は5分で終わりますが、1カ月間、毎日通う必要があります。全摘出してしまえば放射線治療は必要ありません。入院期間は1週間くらいでしょうか」

部分切除、入院5日、放射線治療1カ月間通院。

全摘出、入院7日、通院なし。

「部分摘出の方が傷が小さい分、身体への負担は小さいです。ただ、コヤナギさんはお胸がそれほど大きい方ではないので、形が変わってしまうとは思います。豊満な方なら気にならないとは思うのですが」

え……。

どっちがいいんでしょうね。

「よく考えて、大学病院で相談してみて下さい」

こちらがかの有名な「紹介状」です。

紹介状と、エコー写真の入ったCD-Rと、わたしの組織のスライスが挟まったプレパラートを預かって、町医者をあとにしました。

たとえば風邪で病院に行って、お腹が痛ければ整腸剤を、頭が痛ければ鎮痛剤が処方されるじゃないですか。それは、わたしが決めることではなく、その病状にはこれと診断されて、お医者さんが決めてくれます。

でも、がんの場合はどこまでどうしたいか、自分で決めるのだな、というのが発見でした。がんだけ取る部分切除が身体に負担がいちばん少ないけれど、胸の形が変わる。それに退院したあと1カ月も病院に通える自信がありません。

乳房を全摘出した場合、「再建」といって、失った乳房を作ることも保険適用になったそうです。乳がんになってしまったことは変えられない事実。がんは取るしかないので、手術をすることも避けられない。

どうせメスを入れなければいけないのならば、豊胸でもできないかしら。「乳がんで保険適用されたから」なんていいわけつきで、巨乳としての第二の人生を歩めるならば、それはそれで面白いかも。

グラマラスなセクシー路線にキャラ変更した自分を想像しながら、不安をおもしろおかしくかき消しました。

家でこっそり開封しました。わたしの分身がん細胞たち。

 

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