台南市で「天国」と「地獄」を堪能した〜台湾ひとり旅(後編)〜

この鬼がのちのち僕を苦しめることに……。

台湾の台南市をひとり旅している僕は、到着した翌日、美術館に行ってみようと考えた。宿に戻って調べてみると、開館していたのでさっそく向かうことに。宿から歩いて3分ほどのところにそれはあった。まず入ったのは、「1館」と呼ばれているもので、日本統治時代の警察署をリノベして使用している建物のほうだ。建物は思ったより小さくこじんまりとしていてかわいい。女子だったら喜ぶこと間違いない。

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台南美術館は、小ぶりながら、風格を備えていた。

なかには、静謐な空気が流れている。回廊があって、なんとなく美術館という感じがしない。散歩できそうな感じ。なかなかいいひとりスポットだ。

教室みたいな感じで、面白い構造。

中庭もある。暑くない日はここで一休みするもよし。この日の展示をひと通り楽しんだ。

中庭のテラスは暑くて、今回はちょっとパス。

展示を観た後、建物内に、ちょうどひとりで鑑賞の余韻に浸るにはうってつけのオシャレカフェを発見したので入ってみる。

モダンなカフェでコーヒーでもどうぞ。

僕は、「クラシックミルクティ」というものを注文してみた。

僕はミルクティにしましたが。

ミルクがかかっていた。しばし、台南の美術館で、物思いに耽る。……気づいたら1時間も経過していた。時間がない。早く次のスポットに行かなければ!

次は旅行前、副市長の王さんに教えてもらった最近オープンしたという「2館」と呼ばれるところ。こちらは、モダン建築である。

こちらが2019年1月オープンの2館。できたてホヤホヤ。

こちらの展示は「透明的地方色」という絵画展だった。

一枚のポスターが僕を館内に誘う。

せっかくなのでこちらも観ていった。郷愁あふれる絵画は素晴らしかった。いつまでも台南に残っていたいと思わせるものだった。

絵画を堪能しているといつの間にか日が暮れようとしていた。ヤバイ! 王さんが言っていたスポットに行くのを忘れていた!

「ひとり旅だったら、ぜひ海を見に行ってほしいんです。台南で夕陽と海、両方楽しめるところがありまして。『漁光島』というところなんですが。ここは、台湾のなかで、街に一番近い島です。橋が一本通っていて。夕陽が最高なんですよ。朝、ジョギングしている人も多いですけど、夕方は、カップルが多いですよ」

カップルに混じってひとりで夕陽を見るのも一興だ。僕は急いでタクシーを捕まえると漁光島まで連れて行ってもらった。中心部から約15分くらい。すると確かに、人でごった返していた。地元の人で人気のスポットなのだ。残念ながら陽は落ちかけていた。でも綺麗な夕焼けは残っていた。僕はそれを観ながら、また、いつまでも台南にいたい、と思ったのだった。

一人で観る夕陽もいいものだ。もちろん、二人で観てもいいに違いない。

そして、そのまま宿に戻って寝ることにした。

台南の副市長が教えてくれた「子供はやめておいたほうがいい」場所

次の日、僕は行くところを決めていた。これも副市長・王さんイチオシのスポットだ。

「市内からちょっと離れた場所なんですけど、どうしてもオススメしたい場所があるんです。麻豆区というところにある『麻豆代天府』というところです。台湾人が想像した天国と地獄があって、それが結構怖いんです。子供はやめておいたほうがいい。お寺の付属の施設なんですけど、一種のパワースポットなんですね。ひとりで自分を見つめ直すには最適なんですよ! 神田さん、新しい自分を再開しましょう!」

こんなことまで言われては行くしかない。僕は、朝起きると宿の近くでタクシーを拾った。タクシーで麻豆代天府までは、約1時間。タクシーの運転手は大喜びだった。高雄と反対側、車は台南を北上し、やっとのことで麻豆代天府に着くと、そこには異様な光景が広がっていた。

建物には誰かが住んでいるのだろうか。

な、なんだこれは……。見た目は宗教施設のようでもある。とりあえず、本尊のようなものがあったのでお参りしてみる。

宗教施設なので、お参りします。

さらに中に進むと、今度は龍のオブジェがお出迎え。なんなんだここは!! 遊園地なのか! それとも、いま流行りの珍スポット?

壮大な龍の姿に一瞬見惚れる。

だって、巨大な龍がお出迎えするんだもの。

どうみてもゆるキャラ。
こちらもどうみてもゆるキャラ。

周りにいた事務員さんに聞いてみると、龍が、「天国」の入り口になっているようだ。おカネを払って天国を体験することにしてみた。

天国は、とにかく心地よかった。冷房もめちゃくちゃ効いていた。

がらんとした天国への入り口。
天国感あふれる一枚。ぜんまい仕掛けで動きます。

動く人形がこれでもかと、天国に僕をいざなってくれる。至福のとき。すべてを肯定された感。でもそんな時間は長くは続かない。

上からの眺めは最高。天国だけはある。

終わった……。とぼとぼと階段を降りて帰る。ドーパミンとアドレナリンが噴出した体験は幕を閉じた。確かに人生を変えてくれたかもしれない。ネガティブになりがちな僕の思考を「天国」は変えてくれたかもしれない。こんなところ、ひとり旅じゃなきゃなかなかこられない。いい体験だった。

さて、次は「地獄」だ。ああ、嫌だ。なんで先に地獄に行かなかったんだ。もう行くのやめようかな。でも行かないと怒られちゃう。だから行こう。地獄へ。

入り口も地獄。中も地獄。

入り口からマジ終ってる。鬼がにらんでいる。でも勇気を振り絞って僕は行くことにした。レッツゴー地獄。

地獄に行くとわかっていて裁かれる人たち。

まず、暗い。そして暑い。冷房が効いてない。何かの罰だ。何も悪い事してないのに。いや、何か悪いことをしてきたんだろう。それの罰をいま、僕は受けているんだ。誰かが閻魔大王の審判を受けている。僕も受けているんだ。

これ見たときの衝撃たるや。一人で来たことを初めて呪った。

ぎゃーーー!!! 人が浮いてる……。もちろん人形だが、これ、マジで怖いです。ひとりで行ってますからね。早く出たいと焦れども、出口が一向に見えない。早足で駆け抜ける。

かなりの拷問を受けている。早く立ち去りたい。

また何かの罰を受けている人がいます。こうはなりたくないですが、これが地獄です。やっとのことで涙目で出口に出ると事務員のおばちゃんたちが笑っている。笑いごとじゃないよ! そして哀れんでくれたのか、僕に果物をくれた。

「うーたん」と説明されたが、あとで台湾人の友人に聞くとゆずだと言われた。

台南の人の優しさに触れた。その場で剥いてくれた果物はすっぱくないグレープフルーツという感じで、涙が出るほど美味しかった。涙に涙がかぶさって、僕の心はもう空白状態だった。これが悟りってやつ? 自分を見つめ直すにはここ、本当にオススメなのかも!

待っていてくれたタクシーの運転手さんと合流して宿まで戻った。冷静になるまでには時間がかかった。

これで僕の台南ひとり旅は終わり。アボカドミルクプリンで次なる流行の予感を目にし、朝市で人々とのふれあいを楽しみ、美術館でひとり時間を満喫し、夕陽でカップルにまじりながらも物思いにふけり、天国と地獄で新しい自分を発見した、そんな旅だった。

すべては台南の人々の優しさと台南という土地がくれたもの。みなさん、ぜひ、ひとりで台南に行ってみて! 「花園夜市」など、紹介しきれなかった見どころもたくさん。ぜひ、次の旅行は台南へ!

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