6100万画素の高画質、趣味にそこまで必要? ソニーα7R IV試してみた・後編

ソニーα7R IVと楠芽瑠さん(東京都新宿区のカフェバー「Le Temps」)

フルサイズカメラで世界最高画質の6100画素を誇るソニーのα7R IV。シャッターの高質感とダイナミックレンジの広さを堪能した前編に続き、後編は室内での人物撮影の作例をお送りします。

【前編】6100万画素でも軽快なシャッターの切れ味 ソニーα7R IV 試してみた

瞳を外さないリアルタイムAF

撮影場所は、東京・新宿3丁目のカフェバー「Le Temps」(ル・タン)。この店の前身は「ナジャ」という、1960~70年代に赤塚不二夫さんやタモリさんなどの著名人が夜ごと集って遊び明かした伝説のバーでした。

この店には、イラストレーター・宇野亜喜良さん直筆の壁画があります。宇野さんは寺山修司さんが主宰したアングラ劇団「天井桟敷」のポスターなどを手がけたことで有名です。2007年、ナジャの雰囲気を受け継いで今の店がオープン。宇野さんが店の名前も決め、新しい店の内装として、フランスの詩人・ジャック・プレヴェールの「五月の歌」を題材に絵を描いたそうです。

人物写真でなんといっても便利なのは、リアルタイム瞳AFです。

α7R IIIのファームウェアアップデート(Ver.3.0)で4月に実装されたので、その威力は経験済みではありましたが、シャッターボタンを半押しした瞬間に目を狙いに行く機敏さは圧巻です。
構図を悩んでカメラを動かしている際にも、半押ししている限り目にずっと合ったまま。よほどのことが無い限り外れようとしません。撮影のテンポは快調に上がっていきますので、仕事が早く片付きますし、違うポーズをお願いしやすいので、本当にありがたい機能です。

なんでも機械に任せるのは嫌だという人もいらっしゃるとは思いますが、「シャッターチャンス優先主義」の筆者としてはありがたい機能。構図とタイミングに集中できるので、人物撮影では語りかける余裕も出てきます。

より高精細になった電子ビューファインダーは、解像度約576万ドット。約369万ドットだったα7R IIIから約1.6倍になりました。大きく明るくなったファインダーからEVFで画像を確認できます。

ぞくっとする2つの視線

(東京都新宿区のカフェバー「Le Temps」)レンズ:SONY FE 100mm F2.8 STF GM OSS(SEL100F28GM)。100mm、F5.6、1/100秒、ISO6400。手持ち撮影。ストロボ・レフ使用

ブリジット・バルドーとの2ショット

フランス映画が大好きな宇野亜喜良さんが描いたブリジッド・バルドーと(東京都新宿区のカフェバー「Le Temps」)。レンズ:SONY Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS(SEL1635Z)。20mm、F4、1/60秒、ISO5000。手持ち撮影。ストロボ・レフ使用

昨年2018年9月に亡くなられた歌手・渚ようこさんをモデルに、ゴールデン街にあった彼女の店「汀」や海辺、故郷山形などの各地で撮影された写真で構成された、写真家・森山大道さんの写真集「NAGISA」(2010年 Akio Nagasawa Publishing 発行)は、この店内でも撮影されました。

尊敬する森山さんへのオマージュで、写真集と同じようなアングルで撮ってみました。写真集はモノクロームですが、いわゆる「アレ・ブレ・ボケ」(高温現像による荒れた粒子で、ピントがボケてブレた不鮮明な写真)と呼ばれた作風は出せず、アングルだけなんとなく似ている写真になりました。

渚ようこさんを偲び 森山大道さんに敬意を込めて

森山大道さんの写真集「NAGISA」にこの店で撮った、こんなシーンがあります。(東京都新宿区のカフェバー「Le Temps」)レンズ:SONY Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS(SEL1635Z)。20mm、F4、1/60秒、ISO6400。手持ち撮影。ストロボ・レフ使用。Adobe Lightroom classicとNik Software Silver Efex Pro2でモノクローム処理。

撮影の合間に語らうひととき

「のんさんも取材で来られたのよ」と雑誌を片手に話すオーナーの涌井香織さん(東京都新宿区のカフェバー「Le Temps」)。レンズ:SONY FE 24-70mm F2.8(SEL2470GM)。31mm、F8.0、1/60秒、ISO6400。手持ち撮影。ストロボ使用。

メモリーカード増量とパソコンの増強を

撮影は軽快そのものですが、調子に乗って撮っていると、メモリーカードの容量があっという間にパンクします。

1枚あたりの撮影データの容量は撮影条件にもよりますが、JPEGのエクストラファイン(最高画質のモード)で約40MB、圧縮RAWデータは約60MBです。64GBでJPEGなら1630枚程度、圧縮RAWなら1090枚程度保存できます。ちょっとした旅行なら十分でしょうが、連射することが多い被写体など使用用途によっては注意が必要です。

デュアルのSDカードスロットが両方ともUHS-II対応。重くなった画像ファイルを効率よく大量に記録するためにリレー記録も安心して出来ます。よい改善点です。

ファイル容量が増えると、Photoshopなどの画像編集ソフトが占有するパソコンのメモリー使用量、データを保管するためのストレージ(SSDやHDD)の容量も必要になってきます。さらにRAW現像(JPEG書き出し)時の負荷が高くなりますので、場合によってはメモリ増強や本体そのものの買い替えなどの必要が生じます。

惜しみなくトリミングできる6100万画素

6100万画素をどう使いこなせばいいのか、頭を悩ませた一週間でした。

絵などの美術品撮影など、精細なデータが必要な人、大判ポスターなど大きく引き延ばす必要がある人にとって高画質化は願ってもないことだと思います。三脚を据えてじっくり粘って風景を撮る人にも、細やかな描写はいくらでも必要なことでしょう。

では、ただカメラを趣味としている人に6100万画素もの高画質が必要なのでしょうか。

筆者の出した結論は、解像度を活かして惜しみなくトリミングできることを前提に撮影をすればよい、ということです。「構図を考えず雑に撮れ」という意味ではなく、α7R IVが持つ高速なリアルタイムAF能力を活かして被写体にピントが合えば、貪欲にシャッターを切ればいいのではないでしょうか。

メモリカードの増量やパソコンの増強が必要となりますが。予算に余裕がある方にとっては頼りになる1台になることは間違いありません。

◎よくできました◎
高画質なのに軽快。
メモリカードが遅くてもキャッシュいっぱいまで撮らないならメモリ切れは起きない。

△がんばりましょう△
書き込み中に設定変更ができない。
シャッターを切る前に遡った記録ができない。

ソニー α7R IVの概要はこちら

撮影モデル:楠芽瑠(くすのき・める)さん。
東京都出身。プログレッシヴ・ロックの楽曲を中心にパフォーマンスしているアイドルユニット「XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム)」のメンバー。2019年9月16日のライブを最後に卒業し、ソロ活動に。

公式サイトにはライブ情報なども掲載しています。

 

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