6100万画素でも軽快なシャッターの切れ味 ソニーα7R IV 試してみた・前編

ソニーα7R IVと楠芽瑠さん(東京都新宿区のカフェバー「Le Temps」)

フルサイズカメラで世界最高画質の6100画素を誇るソニーのα7R IVが発売されました。吐き出す画像は、8Kテレビ(7680×4320ドット)の画質すらも余裕で超える9504×6336画素なのに、連続撮影速度は従来機のα7R III(約4240万画素)と同じ、最高約10コマ/秒という筋肉質なモンスターマシン。

以前、横浜で毎年開かれているCP+のソニーブースで「イヤーモデル化はしない。確実に新しいと思う技術が確立したタイミングでモデルチェンジする」と担当者が胸を張って語っていました。「確実に新しいもの」とは何か、しっかり確かめたいと思います。

ソニー α7R IV

シャッターを切っただけで分かる高質感

手に持ってメカシャッターを切った瞬間の第一印象は、良いカメラになったということです。手に残るショックが明らかに少なく、やや甲高い金属音が出る従来機のα7R IIIのシャッターより音質も低くなっていて、明らかに質感が違います。

「フォーカルプレーンシャッター」を構成する2枚の幕(先幕と後幕)にブレーキ機構を搭載し、シャッターチャージ部とそれを固定するシャーシ間にダンパーを加えることで振動を効果的に吸収したのだそうです。微細な振動に影響を受ける高解像撮影ならではの改良ですね。もちろん電子シャッターを使えば防振は解決するのですが、ストロボ撮影ではまだメカシャッターは必要です。

リアダイヤルの位置が上面に移動、露出補正ダイヤルにはロック機構を装備。AFポイントを動かすジョイスティックは面積が少し広くなり、より操作がしやすくなりました。

日差しの強さに負けないダイナミックレンジの広さ

文化の秋・芸術の秋ということで、上野にある東京藝術大学で9月6日~8日に開かれていた学園祭「藝祭」に持ち出してみました。

大学の中すべてが美術館かコンサート会場になっている中、ひときわ目立ったのが「神輿」です。「風の谷のナウシカ」に出て来そうな飛行船、絶対勝てそうにない力強い門番、特撮でそのまま使えそうな始祖鳥や恐竜、今にも駆け出しそうな馬……上体は発泡スチロールだそうですが、全体ではかなりの重さで、これを40人くらいで担いで上野の街を練り歩くそうです。

神輿の写真で注目してもらいたいのはハイライト(明るい部分)とシャドー(暗い部分)です。画像処理ソフトで元画像のトーンカーブを上げたり下げたりしてみると、どちらも階調がきちんと残っていて、明るいところが飛んだり、暗いところが潰れたりせず階調が残っていることが確認できます。

明るさの範囲を示す指標に、ダイナミックレンジがあります。α7R IVは15ステップ(15EV)。潰れずに残っている暗いところ(最小輝度)から、飛ばずに残っている明るいところ(最大輝度)の範囲が90dB(3万2768倍)あるのです。ちなみに星も見えない真っ暗な空から太陽の光までの幅が約23.3EV=140dB(1000万倍)、ISO100のネガフィルムが10EV=50dBくらいだそうです。

従来機のα7R IIIも同じ15ステップですが、イメージセンサーの有効画素数は、4240万画素から6100万画素に43.9%増えていますので、単純計算でも1画素が受け取れる光の量は30.5%減っているのです。変わらない数字の裏側に、大幅改良に取り組んだ努力の結果がうかがえます。

東京藝術大学「藝祭」の神輿 その1

作品タイトルは「緊急事態発生!緊急事態発生!『隊長! 原因不明のトラブルです!』大空に浮かぶ飛行船は、上野の地に墜落してしまうのか……!?」(東京都台東区の東京藝術大学)。レンズ:SONY FE 24-70mm F2.8 GM(SEL2470GM)。28mm、F2.8、1/3200秒、ISO100。手持ち撮影。以下、いずれもAdobe Lightroomで露出、シャープネスなどを調整しています。

東京藝術大学「藝祭」の神輿 その2

作品タイトルは「地獄の門番、牛頭と馬頭 逃げても逃げても四苦八苦」(東京都台東区の東京藝術大学)。レンズ:SONY FE 24-70mm F2.8 GM(SEL2470GM)。31mm、F5.6、1/40秒、ISO100。手持ち撮影。

東京藝術大学「藝祭」の神輿 その3

作品タイトルは「進化の続きを今、ここで」(東京都台東区の東京藝術大学)。レンズ:SONY FE 24-70mm F2.8 GM(SEL2470GM)。32mm、F5.6、1/200秒、ISO100。手持ち撮影。

東京藝術大学「藝祭」の神輿 その4

作品タイトルは「今年も上野にたくさんの“穂り”がありますように」(東京都台東区の東京藝術大学)。レンズ:SONY FE 24-70mm F2.8 GM(SEL2470GM)。24mm、F5.6、1/160秒、ISO100。手持ち撮影。

トリミングに強い高画質

いつものようにカワセミも狙ってみました。

せっかくなので川に飛び込もうとする瞬間を狙おうと、飛んだ瞬間をカメラに追いかけさせる計算で広めに構えました。6100万画素もあるのですからトリミングしてもかなりの画素数が残る算段です。こんなときに限って飛び込まずに横に飛ばれてしまいましたが、ぎりぎりファインダー内に収まっていました。

擁壁の端にとまるカワセミ

食事の時間ではないのか、なかなか川に飛び込まないカワセミ(東京都東久留米の落合川)レンズ:SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS(SEL100400GM)+2X テレコンバーター(SEL20TC)。800mm、F11、1/2000秒、ISO12800。手持ち撮影。

飛び出すカワセミ

川上に飛んでいくカワセミ(東京都東久留米の落合川)レンズ:SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS(SEL100400GM)+2X テレコンバーター(SEL20TC)。800mm、F11、1/2000秒、ISO12800。手持ち撮影。

飛び出すカワセミ(トリミング)

1つ手前の写真をここまでトリミング。解像度は1100万画素相当。※Web掲載時は縮小してあります(東京都東久留米市の落合川)。レンズ:SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS(SEL100400GM)+2X テレコンバーター(SEL20TC)。800mm、F11、1/2000秒、ISO12800。手持ち撮影。

では、どこまでトリミング出来るのか?

紙に出すときは大きくてもA2サイズくらいでしょうか。必要な解像度は、一般の商業印刷レベル(印刷解像度350dpi)で5787 x 8185ピクセル(約4736万画素)、ポスターに必要な最低解像度(同200dpi)で3307×4677ピクセル(約1546万画素)ですので、大きくトリミングできる余裕が出来ます。カワセミのトリミング済みのものでも、A3横サイズであればポスターに必要な解像度を保持しています。

問題は、いかに俊敏に被写体の動きに反応するべきかですが、残念ながら動体視力は歳とともに衰えていきます。出来れば「シャッターを切る前にさかのぼって記録できる機能」などのテクノロジーに助けてもらいたいものです。

他社では既に、「プリ撮影」(キヤノン)や「プロキャプチャー」(オリンパス)と名付けて搭載しています。多少の訓練は必要とはいえ、シャッターチャンスを逃さずに捉える機会も増えましょう。展示会でたびたび必要性を訴えているのですが、ここでも改めてお願いします。ソニーさん、ぜひともご検討していただけませんでしょうか?

キバナコスモスの蜜を吸うモンキチョウ

AF-Cモードで被写体追従させるとジーコジーコとモーターが忙しなく動くレンズですが、軽く、最短撮影距離0.16mなので機動性が高く、ソフトなボケ味。 (東京都東久留米市の落合川付近)。レンズ:SONY FE 50mm F2.8 Macro(SEL50M28)。50mm、F2.8、1/500秒、ISO100。手持ち撮影。

以上、前編は屋外での撮影で作例をお届けしました。

後編は、注目の「リアルタイム瞳AF」機能を使った屋内での人物撮影の作例を中心にお届けします。

ソニー α7R IVの概要はこちら

撮影モデル:楠芽瑠(くすのき・める)さん。
東京都出身のタレント。プログレッシヴ・ロックの楽曲を中心にパフォーマンスしているアイドルユニット「XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム)」の元リーダー。2019年9月16日のライブを最後に卒業。現在はソロ活動中。

公式サイトにはライブ情報なども掲載しています。

 

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