【古民家で暮らそう!:15】憧れの薪ストーブ導入!しかし現実は辛い・上

薪ストーブを設置した母屋と犬のルカ

田舎暮らしというと、多くの方が憧れる定番のツールが薪ストーブです。古民家の中で、寒い日にパチパチと薪が爆ぜる音を聞きながら美味しいお酒でも…というのは、誰もが夢見るシチュエーションです。移住をして2回目の冬を迎えるにあたって、我が家もついに薪ストーブ設置に動き出しました。

薪ストーブは確かに暖かいですし、家の中に火が燃えているという雰囲気は他には代えがたい絶大な演出効果があります。一方でそれを維持するためにはそれなりの苦労(否、ものすごい労力…)が必要ですし、設置の場所選びなども、いろいろと注意点がたくさんありますので、導入を検討しておられる方の参考に書き残しておくことにしました。

まずは設置する場所を選ぶ

ここに設置をすることに決めました

我が家は茅葺屋根をトタン板で囲った古民家ですので、火がつくとあっという間に松明のように燃えてしまいます。昔から古民家では、家の中で囲炉裏を囲んだり、土間で火鉢を炊いたり、お風呂を薪で沸かしたりしていたわけですので、家の中で火を焚くというのは日常的なことだったのかもしれませんが、さすがに茅葺きの屋根の中に煙突を通すわけにはいきません。母屋の上には巨大な三角屋根が乗っており、煙突を抜く場所は、屋根の縁についているひさしの部分か、壁しかないということになります。

壁を外に伸ばしてひさしの下に部屋を作ってもらいました

古民家の基本的な構造として、ひさしがかなり低い位置まで下がっており、壁から煙突を抜く場合には、ストーブから出た煙突をすぐ横に曲げて配管しなくてはいけません。煙突は「ドラフト」と呼ばれる上昇気流によって煙を自然排気するので、途中で曲がっている箇所があると(特にストーブから出てすぐに曲げるとよくない)ドラフトの力が弱くなりますし、煙突の中に煤がたまりやすくなってしまいます。

なので、我が家はひさしの部分から煙突を曲げることなく、直接真上に抜くことにしました。幸い、ストーブを設置しようと思っていたひさしは瓦ではなくスレートになっていましたので、加工も楽なはずです。

もともとここには、まったく魅力がないアルミサッシの窓が入っており、窓を取り外して、ひさしの部分まで壁を外側にせり出し、そこにストーブを置く場所を作ることにしました。見積もりを取ってみると、思ったよりも安くできそうでしたので、これらの作業は工務店にお願いすることにしました。

本体や煙突を購入する

実際に見てみると意外と大きな煙突のパーツ/床下用に好みのブロックを購入

薪ストーブと一口に言っても、種類や大きさ、メーカーなどいろいろです。人気があるのは、ヨツールやダッチウエスト、バーモントキャスティングなど欧米のメーカー品ですが、めっちゃ高いです。本体だけで5、60万ぐらいします。

そして忘れがちですが、煙突もほぼ同じぐらいの金額がします。我が家はとてもそれだけの予算はかけられず、日本のホンマ製作所というところの、お手軽な薪ストーブを選ぶことにしました。

有名なメーカーなので、ネットで調べてみるといろんなところで取り扱っているのが見つかりました。販売しているお店によって全然金額が違っており、送料が無料になるように、本体や煙突などをあちこちから取り寄せるように組み合わせてパーツを揃えました。

ただ、気をつけないといけないのは、ストーブの本体が140kgぐらいあること。とても人間の手で運べる重さではありません。購入の段階で運送屋のトラックから降ろすためのフォークリフトが使える荷受け先を立てておかなければ、ネット通販では購入することができません。

我が家は、壁を外に増築する依頼をした工務店に荷受け先になっていただき、設置のときまで預かっておいてもらうことにしました。ご自分で設置される方も多いかと思いますが、ここはクリアしておかなければいけないところです。

空気層の重要性

薪ストーブの設置にあたってもっとも気をつけないといけないのは、何と言っても火災。自分でも本やネットなどでいろいろ勉強をして、危険箇所はすべてクリアにしていくように気をつけて作業をしてもらいました。

お願いした工務店は薪ストーブの設置にはあまり詳しくなかったようで、こちらの指示と違う施工部分もあり、床下の空気層と床面のブロック面の大きさを作り直してもらいした。気の毒でしたが、そこは妥協できない部分です。この写真は作り直してもらう前のものです。

窓が入って出窓のような空間が完成

壁の表面などが焦げるのは目に見えて分かりやすいのですが、低温炭化と呼ばれる現象はもっとも気をつけなくてはいけません。壁の中の柱や梁などの材木が低温で熱を加えられ続けることで炭化し、通常の発火温度よりもずっと低い温度で発火する状態になってしまう現象のことです。

断熱材などの処置はもちろんですが、中でも重要なのが「空気層」です。間に空気の層を作ることによって、材木に熱が伝わるのを遮断する効果があります。なのでレンガの底の部分にも空気層を作る必要があります。実際に使い始めてみると分かりますが、ストーブの真下はほぼ熱が伝わらないのに対し、それ以外の部分は蓄熱暖房機のようにレンガがかなり熱くなりますので、床面にも空気層を作る処置が必要になってきます。

燃料の確保が大仕事

地元の工務店で分けてもらった端材の束

薪ストーブを維持するためのいちばんの問題点は、薪の確保です。ホームセンターなどで売っている薪は金額的に論外ですので、地元の森林組合などで入手するという方法もありますが、それでも割って一定期間乾燥させたものを購入すると、灯油を買うのと同じぐらいの費用がかかります。

玉切りもせず、割ってもいない丸太そのものも販売してくれますが、人間の力ではとても持ち上げることができませんし、少なくとも軽トラックなどの車両がないと運ぶこともできません。

理想的な燃料の広葉樹の丸太/カットするためのチェーンソー

我が家では、地元の製材所で丸太を製材したときに出る端材を分けていただいたり、地元の工務店から不要になったパレットなどを無償で提供してもらったりしてまかなっています。

昨年までは近くに果樹園があり、チェーンソーを持って取りに行けば伐採された良質な広葉樹の薪が手に入ったのですが、今年度から違う施設に生まれ変わってしまいました。毎年毎年、これらの確保先が変わり、休みのたびに材木のカット&薪割りという作業に追われます。しかも生木のままではまったく温度があがらないので、少なくとも1年〜1年半ほどは乾燥させないと使い物になりません。

つまり、材木を取りにいく→トラックから庭に降ろす→チェーンソーでカットする→斧で割る→薪置場に運んで乾燥させる→使用するときに室内に運ぶ…という大変な労働を伴うことになります。それに比べると、灯油は火力も強いし、とっても楽なのです。

(続く)

 

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