「サウナが熱い!」 サウナが若者の間でブームになっているワケ

いまサウナがブームになっている(イラスト・古本有美)

今、サウナが熱い!

いや、サウナが熱いのは当たり前だけど、温度という意味ではなく、ブームという意味である。特に今回のサウナブームは、若い人の間でブームになりつつあるという。

僕自身は、かれこれ1年半くらい前から、積極的にサウナに入っているのだが、たしかにここ半年くらいで、サウナに若い人の姿を見かけることが増えてきたように思う。

疲れたおじさんの楽園であったはずのサウナが、一体どうしてブームになっているのか?

「ととのう」という言葉の発明

これには2つの要因があると僕は考えている。

1つは漫画家のタナカカツキによる作品『サ道』(PARCO出版)によるものだ。

サ道は、サウナに入る筆者と、その周囲の人達によるエッセイ的なマンガであり、一部には「サウナーのバイブル」と呼ばれている。ネプチューンの原田泰造らの主演による連続TVドラマとしても放送され、好評を博した。

このまんががサウナブームを引き起こした理由は「ととのう」という言葉の発明である。

「ととのう」という言葉には多分に感覚的なものを含むが、僕自身の考える「ととのい」は、水風呂に入ったり、休憩している最中に、半ばぼーっとしたリラックス状態から抜けて、意識が鋭敏になった状態である。

一方で、ドラマ版『サ道』で「ととのった」の表現は、ディープリラックスの行き着いた先として描かれているようだ。

このように何を「ととのう」と考えるかは、多種多様、人それぞれである。

そもそも、なぜサウナに入るのか。もちろん、体を休めてリラックスすることが目的だが、リラックスするだけならカフェに行ったり、漫画喫茶に行ったり、家でゆっくりするなど、いくらでも手段がある。

なぜわざわざ、暑くて苦しいサウナに入り、冷たくて手足のしびれる水風呂に入るのか、サウナ経験の少ない人には理解できなかったし、サウナ経験が長い人にとってもそれは説明しづらいことだったのである。

それが「ととのう」という言葉が発明された途端に「ととのうためにサウナに入るんだ」と、サウナならではの特別な体験を、堂々と説明できるようになった。

また、初心者にとっては「ととのいを目指す」というわかりやすい目標が設定されたことで、サウナに入るきっかけが生まれたと言える。

口コミサイトの誕生

もう1つは「サウナ情報のクチコミサイト誕生」によるものだ。

サウナイキタイ」や「SAUNATIME」といった、サウナの口コミサイトが生まれたことにより、サウナー同士の情報交換が活発になった。

これまで、サウナの情報というのは、なかなか共有しづらかった。なぜなら、飲食店であれば出てきた料理の写真を取り、一言二言添えるだけで情報の共有ができたが、サウナは温浴施設であり、自由に写真を撮影することができない。

そうなると公式の情報に頼ることになるが、公式の情報は当然、自分たちの施設をよく見せようとするため、情報を見て行ってみたら、期待ハズレでガッカリという事態もあった。

もちろん、クチコミの情報がなかったわけではないが、今のインターネットでは文字だけの情報はなかなか目立たず、サウナの情報はネット掲示板や個人のサイトに分散してしまっていた。

サウナ情報のクチコミサイトはこれらの情報を1つの場所にまとめ、誰もが自分たちの近くにあるサウナ施設の情報を検索し、サウナーたちの正直な感想とともに把握できるようになった。

サウナ初心者にとっても、今風で入りやすい施設をチェックできるし、サウナーにとっても知らなかったり敷居が高かった施設の内実を知ることのできる、ありがたい存在となっている。

サウナ専用施設はもちろん、スーパー銭湯併設のサウナや、銭湯にある別料金のサウナなど、思わぬところに「ととのい」やすい良いサウナが存在している。

クチコミを元に、いろいろなサウナを訪問して楽しむことができるようになったのは、こうしたサウナ情報があればこそである。

サウナーが牽引するブーム

家にお風呂があるのはもちろん、人口が減っていく時代において、サウナはもちろん、銭湯やスーパー銭湯などの温浴施設は全く安泰であるとは言えない状況にある。都心でも多くの銭湯が廃業し、温浴施設は斜陽産業であるかのように思える。

しかし、昔ながらの銭湯でもしっかりとリフォームし、今風の銭湯に改築したり、生ビールなどを提供するようにして客単価を上げて、地元客のみならず、新規の客を取り込むような銭湯もある。

もちろん、スーパー銭湯やサウナ施設も工夫を絶やしていない。色とりどりのビーズクッションやハンモックなどを取り揃えたごろ寝スペースを準備するなどして、若いカップル客の取り込みに成功した施設もある。

また、大宴会場で芝居をしたり歌手を呼んだり、カラオケを提供するような昔ながらの健康センターも健在だ。2018年の紅白歌合戦に出場し注目を浴びた「純烈」はスーパー銭湯などを回って地道に活動してきたグループである。

地元の銭湯でも、若者向けの施設でも、昔ながらの施設でも、サウナと水風呂、そして休憩スペースがしっかりとしていれば、サウナーたちは好意的に評価する。そして評価をクチコミサイトに書くことで、多くのサウナーが共有し、さらにサウナーが訪れる。

そうしたサウナクチコミサイトを中心にしたサウナーのほど良い循環が起きている。そこに「サ道」のマンガを読んだり、ドラマを見た若い人たちが入ってきている。こうして今のサウナブームが発生しているのである。

サウナ関連業界は、これからが楽しみだ。

 

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