初めてのワインバー、迷ったらまずこの2本(わいん厨房店主のひとり飲み術)

(イラスト・古本有美)

1日が終わり、もう予定はない、家路につく前にチョット1杯ひっかけて…予約もせずに空いてたら入れる。そんなお店はかくも有り難いですが、ひとり飲みに出かける・出かけたいときは、店に何か居心地を求めてなのでしょう。

私も色々な想いで色々な店にひとりで出かけますし、弊店にも「おひとりさま」はおられます。でもその数でいえば、定期的に御来店頂く御常連様でも、おひとりでは来たことのない方が圧倒的です。

弊店で初めてのお客様と話が出来たとき、
「お店の人とこのようにまじまじと会話をしたのは初めて」
「ひとりでお店に飲みに行ったことはない」
というお話は結構お伺いします。弊店や、私が通っている店での、そのような方たちも、特別な人間がひとり飲みしている訳ではないのですが、何か壁があるのでしょう。

ひとり飲みはハードルが高い?

私は、ひとり籠りたいがために、お店に出かけることもありますが、ひとり飲みイコール、店員さんや隣のお客さんと、適宜会話してみたいという想いも、含んでいるでしょうか。店に入ってすぐは自分と今日1日を省みたり、あまりにも忙しかった日だったら、少しボーッと・ボケっとしたり、各種連絡を片付けたりしますが、それが終わると人恋しくなったりしますからね。

でも話をしようにも、気難しいオーナーだったらどうしようとか、常連で占められている店は内輪話ばかりでアウェイ感バリバリ、居心地がよくないんじゃないかと、心配にもなりますよね。注文の仕方などに不文律があるお店もあります。しかも符牒めいた言葉を使っていたりする店だと、まるで入店するのに「お許し」が要る感覚ですね。

おかげさまで私も店を19年続けさせて頂いていますが、店側の立場からいうと、バリアを張っている訳ではなく、新しいお客様に入って来て頂きたいはずなんです。どんなに常連で埋まっている店でも、やがて転勤などで常連のお客様の生活環境が変わって、足が遠のいてしまい、一定の確率で来客数は減っていってしまいますから。それに常連様も店員も、新しい人間からよい刺激を受けることで、襟を正すというか、お互いが活性化していきますので。

私の店は、4人用テーブル席3つに、カウンター席が5つ。オープンな厨房で客席との境目がカウンターとなっています。全員に目を配ることが出来る間取りです。調理をする用がなければ、私はカウンター端の厨房入り口付近に立っていることが多いです。全員にバランスよく応接するための、図形で言うなら重心点みたいなものでしょう。あまり私が動かずともお互い声が届きますから、注文を含めてお客様が話しやすい状況にはなっていると思います。

弊店のアルコール飲料はビールが1種類以外、全て「ぶどうから造ったお酒」です。日本全体でいえば、ようやくワインに触れはじめた程度ですので、日本人にはまだまだよく分からない飲み物です。だからお客様とコミュニケーションを図って、一杯一杯を納得して飲んで頂けるよう心がけています。ひとり飲みのお客様とは、ワインや食の話をこちらから切り出すというより、お客様がお話をしたいのかどうか心持ちを感じてから、種々雑多な会話をして、その隙間にワインを挟み込むようにしています。

ワイン選びの基準はこの2種類

しかしながらワインのことに関しては、注文時に黙ってしまうお客様が多い。何を話していいかも分からないのだと思います。そこで「まずはこのワインに触れてみては」と唱えているものを紹介しましょう。

ワインは味わいか多岐に広がります。そこが難しさであり面白さでもあるのですが、分類する際の代表的な味わいの「モノサシ」に、
・果実味
・酸味
・赤ならば渋味
があります。

白・Mâcon(マコン)

X軸=果実味、Y軸=酸味としてXY座標で白ワインを分類すると、マコンは原点に近いところに位置する、基本基準の白という訳です。マコンを引き合いにして、マコンより「酸っぱいもの」「フルーティーなもの」「(果実味の少ない)辛口なもの」などと話すだけです。

赤・(AC) Bordeaux 「(エーシー)ボルドー」

赤のエーシーボルドーはZ軸=渋味が加わり、XYZの3次元座標の原点付近の赤ワインになります。
そしてマコンやエーシーボルドーを挙げたのは、味わいのバランスだけでなく、誰が飲んでも納得出来る美味しさだからです。値段も弊店ならボトル4000円でおつりが来ます。高級店でもこの倍はしないでしょうから、懐も痛まず、注文時に銘柄を告げるだけで、数字を口に出さずに店側に予算の釘を刺すこともできます。
マコンやエーシーボルドーは共にフランス産で、ワインの世界では量も造られていてポピュラーです。昨今色んな業態の飲食店でワインを置いていますが、マコンと告げて店員に通じなければ、そのお店でワインを選んでもらうことはあきらめた方がいいかもしれません。

1杯目の注文をスムーズに

弊店に限らず専門店は、アルコール飲料に関しては、1杯目の注文がスムーズに進むと、そこから店員とお客様との対話がしやすくなるようです。店側からアレを飲んで、コレも飲みな、みたいに真のオススメが出来ますし、お客様が店員に話しかける壁が低くなると思います。

ひとり飲む方、ひとり飲ませる方、両方の目から、私の経験を通じた「ひとり飲み」を描いて参ります。

 

特集

TAGS

この記事をシェア