乳がん検査、マンモとエコーどっち?(未婚のひとりと一匹と:11)

今回猫は出ません(イラスト・コヤナギユウ)

眼光が鋭い保護老猫の暮らしぶりと、乳がん発覚から手術までの流れを交互に書いているコヤナギユウです。

ちょっとこれまでとこれからのタイムテーブルを整理したいと思います。

<これまで>
1月21日:猫が我が家にやって来た。(連載2回目、いきさつは4回目参照)
1月28日:猫、獣医へ。猫の健闘に敬意を表し、区のがん検診の追加として自費検査に応じる。
2月18日:検査の結果、乳がんだとわかる。(3回目参照)
2月26日:紹介状を持って大病院へ。(7回目9回目参照)
3月2日:「落とし物」扱いだった猫が無事わたしのものに。(8回目参照)

<これから>
3月22日:MRI検査。
3月25日:検査結果、手術方針決定。
4月18日:入院予定。
4月19日:手術の予定。

時は3月22日。
本日は手術の範囲にあたりを付ける「MRI」を受けるところです。

マンモグラフィーにエコーとMRI。乳がんの検査で一番有用なのはどれ?

左から、マンモグラフィー、エコー、MRI(イラスト・コヤナギユウ)

少し前の乳がん手術だと、乳腺のある乳房はもちろんのこと、その表面の乳首や乳腺に近い大胸筋、リンパ節が集まる脇の下など、疑わしいところはごっそり全摘出していたけれど、最近は身体への負担を考えて、なるべく最小限の処置にしているそうです。

がん組織はとても小さく、結局のところは手術して取り出し、検査してみないことにはわからないのですが、余計なところを取ってしまわないように、レントゲンや血液検査などでさまざまな角度から事前に調べます。

そうそう、乳がん検診で有名なのはマンモグラフィーとエコーだけれど、どっちも影を投射するもので、どっちがいいのって思ったことはないですか。若いうちは胸にハリがあるからマンモグラフィーよりエコーの方がいい、なんて噂もあったり。これはあくまで一患者としてのコヤナギの解釈だけれど、マンモグラフィーとエコーだと、「見方が違う」といった感じじゃないかなと思いました。

エコーは患部に生ぬるいジェルをぬりつけて、反響で影を特定するもの。機械を肌の上に滑らせながら、怪しいところがないか探します。いわば水脈を探す精度のいいダウジングで、それっぽいところが見つかれば、別の角度から観察したり、大きさを測ったりすることができる。でも当然ながら、「機械を滑らせたところ」しか見ることはできなくて、もしかして、機械を往復させた軌跡にすき間があって、そこに「水脈」がある可能性もなくはない。

そこへいくとマンモグラフィーの調査は広域。調査対象をつかんで、はさんで、押しひろげて、バシッと撮影後じっくり怪しいものを探す。怪しいか箇所が定まっていないときは、これが手っ取り早いというのも納得です。でも、胸の張りが強いなど影が出にくいタイプの人もいるし、怪しいものが見つかれば結局エコーしなくちゃいけません。

自己診断の触診で気がつく腫瘍って、それなりに大きくなってからになってしまいます。だから、まったく疑わしいところがないと自信がある人はマンモグラフィーがいいだろうし、マンモの痛さに耐えられない人はエコーで済ますもなしじゃないと思います。やらないよりはずっといいですから。いずれにせよ、「このしこり、あやしくない?」となれば、太めの針で組織を取り出す「生体検査」が待っています。

すでに乳がんとわかっているわたしが、手術を目前に受ける検査がMRI。強力な磁力を使った、超高精細で立体的なエコー検査といったところです。「強力な磁力」がどのくらい強力かというと、MRI室は院内の端っこの方にある特別室で、空港みたいな金属探知機に何度も何度も通されて、アクセサリー類はもちろんのこと、化粧(パールなどに金属が含まれる場合あり)、コンタクトレンズの使用は不可。それに、タトゥーについても同意書を書きました。

そう、コヤナギにはタトゥーがあるのです。それも乳がんがあるのと同じ、左胸!

タトゥーがあると、MRIを受けられない? というわけでやってみました!

タトゥーがあって困る仕事はしないぞって意気込みで入れました(イラスト・コヤナギユウ)

手術や検査の予約を決めているときに、乳腺科の先生に言われたのです。

「あと、タトゥーも手術の時は残せると思いますが……、MRIを受けたことがありますか? 腫瘍の性格を見るのにMRI検査の予定があるのですが、タトゥーがある方はやけどをする場合があります」

私の左胸には19才のときに入れた直径6cmくらいの蓮のタトゥーが入っています。MRIは強い磁力を当てて身体の内部を見る検査で、金属厳禁。タトゥーはインクの種類によって金属を含んでいるものもあり、やけどや変色する場合があるのです。

いよいよ当日。すっぴんの裸眼で病衣に着替え、くぐるタイプ、かざすタイプの金属探知機をかいくぐり、いざMRIに対峙しました。

「検査中はなるべく動かないようにしてください。1度の検査でおよそ20分。最初に普通に撮影してから、2度目に造影剤を入れて撮影するのでおよそ40分くらいの検査時間ですね。それは、うつ伏せになって、その穴に左のお胸を入れてください」

ゴォウン!

ウィーーーーーーーン、ギュウン、ギュウン、ギュウン、ギュウン。カカカカカカカ!

MRIの巨体に遜色のない派手な動作音が規則的に響きます。これは、まるで巨大3Dプリンターのよう。ハッ、いけない。20分間動かない、というミッションを終わらせるべく、あまり考え事はしないように、機械音をくわしく探ることもなく、音はただの音として捉え、やり過ごさなくては。騒音が鳴り響いていますが、身体への感触はなにもありません。眠れない飛行機に乗っているときと同じくらい、心を無にしてぼーっとやり過ごします。長距離移動は得意なのです。

やがて最初の20分が終わり、「では造影剤を入れていきまーす」という声が聞こえます。姿勢はそのまま、あらかじめセッティングされていた点滴から、左腕に液体の冷たさを感じます。それに反応して身体が少し冷えたのが分かります。寒いってほどではないですし、不思議とイヤな感じもしませんでした。すでに「長距離移動モード」で心が彼方へあったため後半の20分はあっという間でした。

検査が終わり、「次の来院は1週間後。そのときに結果も出ていると思います。おつかれさまでした」と検査室をあとにします。更衣室で病衣を脱ぎ、そういえば、タトゥーは痛くもかゆくもなかったけど、色は変わってないかな、と上半身を鏡に映したときです。わたしは青ざめました。

へそピアスがついたままだったのです。

うおおおおおおお〜〜〜〜〜〜い!!(イラスト・コヤナギユウ)

タトゥーもボディピアスも長年やっている人には賛同してもらえると思うのですが、もはやこれらはあるのが普通で、特に意識しているものではなく、年々気にならない場所にある「ほくろ」のような当たり前になっていたのです。つまり、存在を忘れている。……のは勝手だけどさ、危ない、何事もなくて良かった〜。

いまのわたしに飾り気なんてなにもない、と油断していました。

歯の治療などの医療やボディピアスに使用される金属は、磁石に反応しないものを使用するのが主流らしいですよ。でも、ボディピアスは外した方が安全ですので、みなさまはお気をつけて……。

 

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