BBQのお供にスペイン産のロゼワイン(わいん厨房店主のひとり飲み術)

BBQにスペイン産のロゼワインを持参。(イラスト・古本有美)

ひとり飲みを続けたり、同じ店に定期的に通うのは、自分が居心地いいからに他ならないのですが、そうしていると同じ常連さんと度々居合わせ、ご挨拶したり会話したりするようになります。別世界の人との会話では刺激も受けるし、それだけでも十分に楽しいのですが、意気投合して別の店に出かけたり、はたまた日を改めて、ときには店主が仕切って、常連達同士でお花見や飲み会に出かけたりするようになります。

私の店にも、土日祝日になるとグループのお客様が増えますが、最近も、

「店主が常連さんと飲み会をして二次会は『たるたる』」

とか、

「デパート地下の立ち飲みコーナーの常連同士」

といった方々がご来店されました。不思議なもので、誰も誘わずひとりで出かけたはずなのに、

「ひとりを求めて『群れ』に行き着く」

ことになります。ひとり飲みの幾分かは、店主含めて他人様と話したい、関わりたいわけですから、自然とそこに帰着するのでしょう。つい先日もそんな催しに出かけてきましたので、「ひとり飲み店外活動」としてお話しして参ります。

ワイン持参のBBQヘのお誘い

職業柄、さまざまな店主との出会いがあるのですが、コンペでお店の商品券をいただいて以来、たまに出かけているワインバーがあります。店主はセカンドキャリアとして自分の店を開けられたようで、ワインをもっと飲んでもらいたい、飲ませたいという気持ちで、徒手空拳で店を始めた私とは違う。私は開業して何年かは、特に年輩のお客様からほぼ100%「前は何をやってたの?」と尋ねられたことを思い出します。

このワインバーは行くたびに、さまざまなキャリアを積んだ方が居られ、話を交わすと非常に刺激を受けます。店の内外でいろいろとイベントもやられているようで、お店の関係者を集めたBBQの誘いを受け、新たな出会いを楽しみに出かけました。

この会は、食材やおつまみは店が用意してくれるのですが、参加者は会費プラスワインを1本持参ということになっています。ワインは会場の1カ所にまとめて置かれ、各自手酌で飲みます。何十人もいるから全種類に触れることはできませんが、10や20種類は楽しむことができます。

私は店主から頼まれて、抜栓して味わい順に並べ替えたり、飲むワインを見立てて差し上げたりします。時折「!」なワインもあり、なくなる前に早目に御相伴にあずかります。役得ということで御勘弁です。

3000円以上出せばハズレの確率が低くなる

ところで、こういった各自持参の会で、どんなワインを持っていけばいいのか困ることはありませんか? 価格も含めてある程度、主催者が指定してくれると助かりますが、漠然と「何か1本持ってきて」と言われることが多いでしょうか。そんな相談を受けることもありますし、自分の店でお客様との話題になることもありますが、私はいつも、

「他人様に飲ませて恥をかきたくなかったら、お金でカタをつけましょう。ワインなら、色や生産国などの関係なしに、小売価格で3000円以上出せば、ハズレの確率が低くなり、大抵の人が『良いね』と言ってくれますよ」

と、話しています。

私自身は多くのワインに触れて選ぶことができる立場にいるので、場に合いそうで、できる限り安いものであえて挑戦することもあります。

BBQに合わせたスペイン産のロゼ

今回は、肉だけでなく他の様々な料理も出るとのことだったので、幅広く対応できるスペイン産「ロゼ」(2800円、税別)にしてみました。日本ではロゼというとどうもマイナスイメージがあるようで、私の店でもたまに開けますが、拒否反応を示すお客様もいますね。フランスでは、今ではなんとロゼが白よりも多量に消費されているそうです。その要因はいろいろと言われていますが、1つには外で飲食するのが好きな人が多く、味だけでなく見栄えがするからということもあると思っています。

BBQに持参したスペイン産のロゼワイン
スペイン産のロゼワインのラベルをアップで

このロゼは色が濃い目で、ロゼとしては渋味を感じる方です。スペイン内陸部の比較的温暖な気候により、果実味が程よくあります。第1回目の連載で紹介した、「基準の白マコン」よりは果実味を感じますが、チリ産ワインほどは甘い感じが少なく、中口と言っておきましょう。単体でも楽しめるし、料理とも合う、今日の場面にはふさわしい酒質です。

さて、お肉との相性ですが、牛肉で脂の少ない赤身系にしてみました。渋味は油脂を拭い去ってくれるような感覚がありますが、渋味に応じて食べ物の脂の量を合わせるとよろしいと思います。軽い渋味なので、食べるお肉の方は、脂身が少ない、赤身が多いものの方が好相性という訳です。ロゼとしては珍しく、新品の樽も使って発酵させ、寝かせています。樽の内面は炎で適宜焦がしているので、ワインにも甘いものが焦げたような香りと風味があります。

私はBBQの焼き手も少し務めたので、肉質と焼き加減をこのワイン向けにカスタムメイド。脂は少な目で、風味を合わせるべく、肉には焦げ目をつけて焼いてみたのです。肉を焼き上げたら、食べながらこのロゼを飲んでみました。和牛なのか、見た目より意外に脂を感じ、肉の方がワインより強いのですが、続けて2口3口とロゼを含むごとに、牛独特の風味と脂を拭い去るような感覚があり、口中がリセットされて、また肉を食べたくなる。実に肉を引き立てるワインでありました。別の、南仏産でより渋味のある赤ワインがマリアージュ(=相性のよいもの)でした。

このお店主催のイベントに参加したのはこれで2回目。前回知り合った方や、お店でお会いした方、初めてお会いした方、無論、店主とも交歓して、思わぬ再会もあったりと満喫しました。また次回もどうぞよろしくお願い致します。

 

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