食と文化の秋 金沢をキヤノンのミラーレス「EOS M6 Mark II」で撮ってみた:後編

ポルトガルギター奏者の湯淺隆さん(左)とマンドリン奏者の吉田剛士さん(写真の楽器はマンドリュート)によるアコースティックユニット「マリオネット」ライブ(石川県野々市市の常讃寺)

金沢の観光地をぐるりとお散歩したガイドブックのような前編に続いて、後編はマクロレンズやライブ撮影、高速連写の作例などをお届けします。

【前編】秋の古都・金沢を撮ってみた

キヤノン EOS M6 MarkII

キヤノン EOS M6 MarkIIにマクロレンズのEF-M28mm F3.5 IS STMを装着。LEDライトを光らせることが出来る

LEDライトが秀逸なEF-M28mm F3.5 IS STM

今回、金沢に持ち出した5本のレンズの中でも特徴的なのが「EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM」です。ごく普通のマクロレンズにしか見えませんが、レンズ先端部をくるくると回して外す両側に左右に4分の1ずつ光るLEDライトが現れます。レンズ接合部近くにある点灯ボタンを押すと、片側か両側かの切り替えや明るさを調整でき、暗くならずに細部まで明るく写し出すことができます。

花や昆虫などの撮影にももちろん便利なのですが、特に効果を発揮するのが食べ物写真。FacebookやInstagramなどのSNSなどにアップする際、手前に落ちてしまう影に悩んでいる方には特にお勧めです。

マクロレンズで撮影した「香箱カニ」や「海鮮まんじゅう」は、柿木畠の丼・すり身・海鮮食処「あげは」の夜コースの一品です。練り物職人として40年磨き上げた腕と魚の目利きが光ります。筆者が金沢にいたころよく通ったカウンターのみで10人座れば満員の小さなお店ですが、今はランチは1時間以上前から行列、夜のコースは予約でいっぱいの大人気店になっています。

あげは 香箱ガニ

石川県では、メスのズワイガニを香箱(コウバコ)ガニと呼ぶ。茶色のつぶつぶの卵である外子(そとこ)とオレンジ色の味噌の部分の内子(うちこ)をカニの甲羅の内側にしまい込み、身をかぶせるようにして収める。味は小さな分だけ濃厚で旨味が詰まっている(金沢市広坂の「あげは」)

あげは 海鮮まんじゅう

ランチの「あげは御膳」にもついてくる名物「海鮮まんじゅう」。軽くふわふわした練り物で、季節によって、のどぐろ、ウニ、能登牡蠣、帆立などの具材が選べる。筆者は真子(真だらの卵巣)をチョイス(金沢市広坂の「あげは」)

一眼レフ・フラッグシップに迫る連写速度

M6 MarkIIで特筆すべき機能向上点は、連続撮影枚数です。連写速度は一眼レフのフラッグシップ「EOS-1DX Mark II」に迫るAF追従の最高約14コマ/秒を実現しました。しかも電子シャッター(最高1/16000秒)を搭載し、電子ビューファインダーや液晶モニターに黒い画像が挟み込まない「ブラックアウトフリー」です。

「ブラックアウト」は、メカニカルシャッターが閉じることで光を遮ってしまうことや、画像表示の処理待ちなどで発生します。もちろんミラーレスですから、静止画撮影中のミラーアップによるファインダー像の消失もありません。ただし、像が斜めに歪んでしまう「ローリングシャッター現象」が発生する場合があります。

野鳥撮影は30コマ/秒の「RAWバースト」で

野鳥など、動きが予測しにくい動体の撮影などで連射を効かせたい場合「RAWバーストモード」機能が便利です。AF追従でなんと約30コマ/秒の連写が可能です。最大約0.5秒前まで遡ってシャッターを半押ししている段階から記録を開始する「プリ撮影」の選択可能ですから、野鳥が羽ばたく瞬間を狙える確率が上がります。ただし、解像度はタテヨコが約75%にクロップ(切り出し)された約1800万画素に落ちますので注意が必要です。この機能は今年8月に発売されたキヤノンのコンパクトデジタルカメラPowerShot 「G5 X Mark II」や「G7 X Mark III」にも搭載されています。

飛び込むカワセミ(RAWバースト撮影)

シャッターを押す前約0.5秒から残るので、個人の反応速度にもよるが、カワセミはまだ飛び立つ前から記録できる(東京都東久留米市の落合川)

筆者の作例でお馴染みの落合川(東久留米市)で、カワセミを狙ってみました。カワセミ撮影は2年ほどで経験が浅く、まだ飛ぶ寸前の挙動を理解していません。今回の雌のカワセミは、獲物を撮り逃して、幾度となく川に飛び込んでくれたので、飛ぶ寸前の挙動をたくさん収めることができました。のちほど挙動をじっくり観察して、今後の撮影に生かしたいと思います。

RAWバーストで生成される画像ファイルは、1枚の大きなRAWデータになります。パソコンのキヤノン純正画像処理ソフト「Digital Photo Professional」に取り込むか、カメラ本体の中で、1枚のRAWデータかJPEGデータかを選んで書き出すことができます。iPadに取り込んだり、Adobe Lightroomで読み込もうとした場合は、不明なファイルに扱われますので注意が必要です。また、RAWバースト機能がファイルを生成している最中は、次の撮影ができません。30コマ近く撮ると、UHS-IIの速いカードでもしばらく書き込み終わるのを待たねばなりません。

音楽撮影こそ欲しいサイレント連写

サイレント機能を使って、ポルトガルギターとマンドリンのアコースティックユニット「マリオネット」のライブを撮影してみました。会場は金沢市のお隣、野々市市役所の東隣にある常讃寺で、今年で10回連続10回目の記念ライブでした。

寺は真宗大谷派で、1987(昭和53)年に白峰村(現在は白山市)の桑島集落が手取川ダムの建設によって水没したため、現在の場所に移転してきたそうです。広い本堂にはこの日、120人が集まり、響きのよい本堂の音に聴き入っていました。北陸は「真宗王国」と呼ばれ、数多くの浄土真宗の寺院がありますが、地域に根付いた交流を深めている寺も少なくありません。

マリオネットは、ポルトガルギターの湯淺隆さんと、マンドリンの吉田剛士さんによるアコースティックユニットです。95年にデビュー。日本では演奏者が少ないポルトガルギターやマンドリュートなどの楽器に交え、ギターやマンドリンを組み合わせて、独特のオリジナル曲の創作を中心に、ファドやポピュラー音楽まで幅広い音楽活動を行なっています。

関西をホームグラウンドに、全国でライブを開催。現在は「南蛮文化」をテーマに、ポルトガルなどと交易のあった堺、大分、種子島などで交流を深め、自治体や企業にオリジナル楽曲を提供しています。清酒「沢の鶴」、大分むぎ焼酎「二階堂」や、アサヒ飲料の炭酸水「ウィルキンソン」のCMにも使われているので、お酒の好きな方は耳にしたことがあるかもしれません。

ライブやお芝居などの舞台の本番撮影で一番重要なのは、音や光を出さないことです。演奏の邪魔を決してしてはいけません。ストロボは当然厳禁ですし、ときに液晶モニターで撮影画像の確認をすることも控える必要があります。自分より後ろにいる人に光が漏れてしまうからです。

大きな音が出るライブハウスでも横にいる人には耳障りですし、音が静かなシーンや止んだタイミングでシャッター音を出してはいけません。お金を払ってライブを楽しんでいるお客様がいらっしゃいますので、細心の注意が必要です。

M6 MarkIIはサイレント撮影は連射が機能しません。ライブの作例はワンショットAFで狙いました。連射というと「動きの激しい運動会やスポーツだけに必要」と思われがちですが、シャッター音が邪魔になるので、サイレント撮影が求められる演奏会や合唱などでも、より良い写真が撮れる確率が上がります。

筆者も舞台撮影のときには連写機能を活用します。もちろん押し続けて同じシーンを何十コマも撮る必要ありません。8コマ/秒や10コマ/秒の速さで最初の3~4コマの連射が欲しいのです。

なぜかというと、特に歌い手の方は大きく口を開けるのでほんの少しタイミングがずれると表情が崩れやすいのです。ジャンプするシーンなどでは、着地時に慣性の法則で頰が重力方向に引っ張られてしまいます。「ここだ!」と思った瞬間の1コマだけでは、残念な写真になってしまう可能性があるのです。M6 MarkIIも、サイレント機能で連写できるようにぜひ改良して頂きたいものです。

マリオネット 常讃寺ライブ

吉田剛士さんが手に持っているのはマンドリンよりもずっと少さなギリシャの民族楽器「バグラマ」(石川県野々市市の常讃寺)

マリオネット 常讃寺ライブ

ギターをかき鳴らす湯淺隆さん。サイレント撮影は演奏終了直後のシーンも気兼ねなくシャッターが切れる(石川県野々市市の常讃寺)

3250万画素は重くなく軽快

3250万画素は画像ファイルが重くてもたもたするのではないか、ライブなど条件の厳しい撮影シーンでは厳しいのではないか、などと撮影前に心配していましたが、全て杞憂でした。EOS M6 MarkIIのオートホワイトバランスは白熱灯の黄色をかぶり過ぎず、明暗差を上手くこなした自動露出は優秀でした。ISO12800ともなるとノイズはほどほどに乗りますが、全体的には少なめで好印象です。あまり修正の必要がありません。

ライブを撮るならF4より明るいズームレンズが欲しい……野鳥撮影に400mm以上の超望遠レンズがあれば……などと、要求が一段も二段も上がってしまうのは、このカメラの完成度が高いから。しかし、メーカーにすれば、それなら一眼レフ用のEFレンズが使える「マウントアダプター EF-EOS M」を使うか、フルサイズのミラーレス・EOS Rシリーズへ、ということなのでしょうか。今後EOS Mマウントレンズの開発スケジュールがとても気になります。

【写真特集】食と文化の秋 金沢を撮ってみた

◎よくできました◎

・小型で軽量なボディとレンズ群

・マクロレンズのLEDライトが秀逸

・3250万画素の高解像度でも撮影は軽快

△がんばりましょう△

・本体の高性能さに見合うMマウントレンズが欲しい
 他社にもある70-350mmズームを
 大きくなってもいいから明るいレンズを

・解像度を落としてもいいので、ノイズを減らして欲しい
 望遠レンズの最小絞りで1/2000秒は厳しい条件ですが

・サイレント撮影で連写ができない
 10コマ/秒は欲しい

キヤノン M6 MarkIIの概要はこちら

今回使用したレンズの概要は下記リンクから

EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM
EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM
EF-M22mm F2 STM
EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM
EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM

 

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