たばこ規制は「世界的潮流」 小池都知事が語る「受動喫煙防止条例」の意義

東京都の小池百合子知事(撮影・齋藤大輔)

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2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックを前に、東京都は喫煙ルールを大きく変えます。18年6月に成立した「東京都受動喫煙防止条例」は、翌7月に成立した国の「改正健康増進法」よりも厳しい内容です。

条例は、すでに一部施行されています。病院や区役所などの行政機関は、屋内で完全禁煙に。飲食店は「全面禁煙」「喫煙室あり」など、対応を店頭に示すことが義務化され、2020年4月からは、従業員がいる飲食店は、原則として禁煙とするか喫煙室の設置が必要となります。

東京都受動喫煙防止条例の概要

こうした都の方針に歓迎の声が上がる一方で、飲食店主や愛煙家を中心に「客が減る」「実態に即していない」と否定的な意見もあります。東京都が2019年に実施したアンケートでは、喫煙者の63%、都民の85%が、受動喫煙防止条例の取組について「良い、やや良い」と回答しています。

こうした「受動喫煙防止対策」の意義について、東京都の小池百合子知事(67)は、どのように考えているのでしょうか。都庁で話を聞きました。

「国のルールが緩すぎる」

東京都の小池百合子知事(撮影・齋藤大輔)

ーー受動喫煙防止条例が成立したことについてどうお考えでしょうか?

小池知事:私が知事になり、議会が都民を中心としたものに変わることで、長年の懸案がようやく実現しました。これまでは成し得なかったことです。たばこについての政策が前に進んだという達成感があります。

ーー東京都には大手町のオフィス街もあれば、多摩地区のように自然豊かな地域もあります。都条例で一律に決めるのではなく、各自治体がルールを決めるべきとの声もあります。

小池知事:各区でルールを作っても、区の境界線を普段の生活の中で、どれくらい意識していますか? ましてや外国からの方々に、どこまでが何区でどこからが何区というのはわからないのではないでしょうか。本当は国がもっとピシっとすれば良いと思っています。

ーー従業員を雇っている店舗は原則禁煙となりますが、従業員のあり・なしで分けると、場合分けが複雑すぎてしまうのではないでしょうか?

小池知事:今後はより整理する必要が出てくるかもしれませんが、やはり都民の健康を守ることが最優先だと思います。

ーー都の受動喫煙防止条例は、国の法律と比べて厳しい、という指摘もあります。

小池知事:むしろ、国のルールが緩すぎるのではないでしょうか。日本では、受動喫煙で亡くなる方が年間約1万5000人います。さらに肺がんのリスクを見ると、受動喫煙がある人とない人で、約1.3倍の違いがあります。喫煙を望まない人がたばこの被害を受けるのは、避けるべきだと考えます。都条例では従業員の有無によって区別されますが、そこは経営者個人の責任でご判断頂きたい。

ーーその場にいる全員が納得していても吸えないというのは、やり過ぎではないかという声もあります。

小池知事:ルールというのはそういうものではないでしょうか。WHO(世界保健機関)やIOC(国際オリンピック委員会)は「たばこのないオリンピック」を推奨していて、ホストシティーは基本的に禁煙の方向でやっています。東京五輪も、その流れに沿って実施します。むしろ、これまであまりにも受動喫煙に対して無神経であったことを改める良い機会だと思います。

ーーマナーだけでは足りないとお考えでしょうか?

小池知事:足りないと思います。ですから、ルールを決めました。今、世の中のマナーの多くは、ルールで決められていると思います。

ーーオリンピックで来日する外国人のなかには、たばこを吸いたい人もいるのでは?

小池知事:一方で、日本に来てこんなに緩いのかとびっくりしている外国人もたくさんいます。

たばこ規制は世界の潮流

東京都の小池百合子知事(撮影・齋藤大輔)

ーー小池さんは、たばこ吸っていますか?

小池知事:全然吸っていません。10年くらい前に病気をして、それ以来やめました。

ーーかつてJT(日本たばこ産業)の広報の仕事をされていました。

小池知事:私の仕事は都民を守ることで、企業利益を優先することではありません。それに、私は長年石油関連の仕事をしていましたが、今は脱炭素化の仕事をしています。

ーー都庁や区役所などの行政機関には喫煙室を設置できないのに、国会議事堂や裁判所などに設置できるのは、おかしいのではないかという指摘もあります。

小池知事:それは国会のご判断だと思います。

ーー今までの分煙で良かったとは思いませんか?

小池知事:行政機関はパブリックな場所ですから、それをいかに効率的に使うか、考える必要があります。その場所で働く人やそこを訪れる人の健康を守るのは、パブリックの考え方として、優先すべきだと思います。

ーー喫煙者に対してどのようなことを伝えたいですか?

小池知事:受動喫煙のある人は、ない人に比べて肺がんのリスクが約1.3倍になるので、たばこによって周囲に迷惑をかけることを、よく考えるべきだと思います。

ーー新ルールをきっかけに、喫煙をやめるのもいいと思いますか?

小池知事:それは個人の選択ですね。

ーー条例は喫煙者にとっては吸える場所が減り、厳しいという声もあります。

小池知事:世界的な潮流もありますし、これまで諸外国に比べて緩かった部分を強めていく点では、オリンピックは良い機会だと思います。誰もが快適に過ごせる街にしていくため、ご理解、ご協力をお願いいたします。

 

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