「人と人がつながる場所を」20代女性会社員がレンタルスペースを開いた理由

「ROUGH LABO」を運営する山本宝さん(撮影・西島本元)

女装する小説家・仙田学が、女性経営者の起業ストーリーや人生に迫るこの連載。今回は、大阪・肥後橋でレンタルスペース「ROUGH LABO」を運営する山本宝さん(29)に話を聞きました。

レンタルスペースやシェアオフィスとして利用できる「ROUGH LABO」は、山本さんが「癒やしの空間を作りたい」とクラウドファンディングで資金を募り、2016年にオープンしました。いまでは、会社員から子連れのママまで、さまざまな人が利用しています。

人と人がつながる場所を作りたい

「人と人がつながる場所を作りたい」と話す山本宝さん(撮影・西島本元)

ーー山本さんは、なぜ「ROUGH LABO」を作ろうと思ったのでしょうか。

山本:大学卒業後に人材紹介会社で営業の仕事をしていたのですが、海外旅行が好きで、休暇を取ってあちこちに行っていました。ひとりで旅をしていると、素敵な出会いに遭遇することが多々あって。そこで、人と人がつながるカフェを作ろうと思ったのがきっかけです。

昔から人と人をつなぐのが好きで、「自分が好きなもので、社会に貢献できることは何だろう」って考え続けて、最後に行き着いたのがやっぱり「人が集まる場所作りたい」ということだったんです。

それと、仕事帰りに異業種交流会に参加するようになったことも大きいです。個人事業主や経営者の人たちなど、生き生きと働いている人たちに出会い、こんなふうになれたらいいなって。それで人材紹介会社を辞めて、貯金ゼロの状態で独立に向けて動き始めたんです。

ーー思い切った選択をされましたね。開業資金はどうされたのでしょうか?

山本:とりあえずいろんなアルバイトを掛け持ちして、お金を貯めようと思いました。美容院、バー、派遣会社の登録社員…。生活は苦しくて、納豆とお米だけの生活が続きました。パックの納豆が安売りしているタイミングで大量に買って、冷凍しておくんです。それをチンして毎日食べてました。ひとり暮らしで生活費もそれなりにかかったので、浮いたお金は全部貯金に回していました。

クラウドファンディングで資金集め

クラウドファンディングで開業資金を集めた(撮影・西島本元)

ーーアルバイトを掛け持ちして資金をためたのですね。

山本:貯金は100万円たまっていたので、それを元手に300万円の融資を受けて、心斎橋で物件を借りてカフェを始めようとしました。ところが親から「心配だからやめてくれ」と涙ながらに止められまして…。300万円を返してカフェを諦めました。

ーーそれは…残念でしたね。

山本:残念でした。だけど諦めきれずに、「27歳までに形にならなければ会社員に戻るから」と親を説得して、クラウドファンディングを始めました。30万円が目標額だったんですけど、なんと100万円が集まりました。この経験は大きかったです。自分の思いや行動が、直に数字になって表れるってすごいことです。そのお金でようやく、私のイメージするお店を作ることができました。

ーークラウドファンディングは、支えてくれる人の思いが数字になることでもありますよね。

山本:だから失敗すると恥ずかしさしかないんですよ。独立を考えている方には学びが大きいと思います。人からお金をいただくって大変なことなんですよね。私は自分の経験を生かして、市町村や大学などでクラウドファンディングについてのセミナーをしたり、その内容をYoutubeで配信したりもしています。やりたいことがあるのにお金がないという人にとって、クラウドファンディングはやりたいことを実現するための最高のツールだと思っています。

「癒やし」のある空間

「ROUGH LABO」を運営する山本宝さん(撮影・西島本元)

ーークラウドファンディングで資金を集めてお店をオープンすることになりましたが、どのようなお店になったのでしょうか?

山本:「癒やしのある空間」をコンセプトにしたレンタルスペースにしました。店を訪れた人が、一生の大切な繋がりができるきっかけとなる場所になるといいなと思っています。また、カフェも併設されていて、シェアオフィスとしても利用できるコミュニティ空間になっています。

ーーお仕事をされていて、日々どんなことを喜びに感じられていますか?

山本:「ROUGH LABOにくると落ち着きます」「ほっとします」「私の原点です」などと、お客様がおっしゃってくださるときは嬉しいです。スタッフのことも大好きで、最高のメンバーと一緒に仕事をしていることにも喜びを感じています。

最近では、会社説明会やママ会などに利用されている「ラフスペース」の予約が増えてきています。大手企業や行政の方々にも利用していただけるようになり、ありがたいです。

ーー一方で課題と感じることはありますか?

山本:新しいサービスを考えたときに、失敗することもあります。自分のアイディアが形にならなかったときは悔しいし、根性がいるなって思います。あとは、ROUGH LABOを創業してから4年目なのですが、お金の資金繰りのことを考えるとまだまだ未熟なことが多いです。

ーー最後に、今後の展望を教えてください。

山本:そんなに大きな目標は言えないのですが、これまでリアルの場づくりに注力してきたので、これからはオンラインに注力していきたいです。新しい時代を作るような、自分たちで考えたユニークなメディアサイトを世の中に生み出したいと考えています。

「ROUGH LABO」を運営する山本宝さん(撮影・西島本元)

 

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