「お金を擬人化したらムダ遣いが減った」お金に縛られない生き方とは

週に2日だけ働く「隠居」生活を実践した大原扁理さん

非正規雇用でひとり働く女性を対象にしたトークイベント「お金に縛られずにハッピーに暮らすヒント」(主催・横浜市男女行動参画推進委員会)が2月15日、横浜市(神奈川県)で開催され、非正規雇用で働くことについて議論が交わされました。

登壇したのは、週休5日の”隠居生活”を綴った『年収90万円で東京ハッピーライフ』(太田出版)で知られる大原扁理さんと、無職だった頃の日々を記録した『あたらしい無職』(タバブックス)の著者・丹野未雪さんです。

2人は、会場を訪れた非正規雇用で働く女性たちに向けて、「生きづらさを軽減させることが大事」、「疎外されない人生がある」なとと呼びかけました。

取捨選択を積み重ねた先の”隠居”生活

大原さんはかつて東京で、週に2、3日働き、あとは気ままに暮らす「隠居」生活を数年間続けました。現在は台湾で同様の暮らしを試みています。

この生活スタイルについて大原さんは「目の前のものを、必要か必要じゃないかという取捨選択を地道に積み重ねていった先にこの環境があったんです。たどり着いてみたら『あ、これは快適かも』ということでそこに落ち着きました」と明かしました。そして、自分に合った「快適さ」を見つけるのに「裏道とか近道はない」と話します。

一方、30代後半から40代前半のあいだに2度の無職期間を経験した丹野さんは、無職であっても悲壮感を抱かなかったと当時を振り返ります。

「多少は捨て鉢な気分もあったんですけど、『無職になった』って言うと子育て中の友だちが昼間に誘ってくれるというのがありました。友達もそんなにお金に余裕のある人はいないので、お互いに暗黙の、『これくらいだよね』という予算で遊んで。なので、付き合いで高い店に行くために泣きながらご飯代を切り詰めるとか、そういうことがありませんでした」

無職の期間を何度も乗り越えてきた丹野未雪さん

お金を擬人化することで無駄遣いが激減

大原さんも丹野さんも、現在はフリーライターです。収入は不安定ですが、丹野さんは「不安だからといってお金に支配されたくない」と言います。

丹野さんは以前、仕方なく同僚にお金を借りたとき、気持ちのすれ違いが生じたそうです。ゆえに「お金に支配されない人間関係を続けていくことが大事」と訴えました。

また大原さんは「お金を擬人化する」という独自の考え方について紹介しました。

「お金を使うときや稼ぐときに、お金を擬人化して考えるようにしているんです。『こういうふうに使ったらお金がどう思うかな』とか、『こうやって稼いだらお金ってどんな気持ちだろう』って考えながら使ったり仕事したりしていると、ムダ遣いが激減したんです。『お天道様が見ている』という言い方がありますが、それが私の場合はお金。常にお金が見ていると考えたら、自分を律するのにすごく役立ったなと思っています」

丹野さん「"遠くの同僚"に相談を」

丹野さんは、非正規雇用で働いていた会社で、上司のパワハラを受けていた経験についても振り返りました。

「最初はハラスメントっていう意識はなかったんです。自分は仕事ができない。どうしたらいいんだろうって。自己嫌悪して、自己卑下して。ただ、自分がダメなんだなって受けとりつつも、『この言われようはちょっと変なんじゃないか』とだんだん思い始めまして」

そんなときに話を聞いてくれたのが、別の会社で自分と同じような立場で働いている「遠い同僚」だったと言います。

「社内では仕事ができない人間だったので、話を聞いてくれる人なんて基本的にいないんですね。そこで前にいた会社で相談に乗ってくれたりグチを聞いてくれたりした人が何人かいたので、相談したんです。そこで自分の気持ちがある程度発散されましたし、『自分はダメなんだ』という袋小路にはまらずに済みました。『遠い同僚』と私は呼んでいるんですけど、そういう人がいたので、分かち合えたというか、自分を追い詰めずに済んだのかなと」

丹野さんはそう話した上で、会場を訪れた人たちに「遠い同僚」とつながることの大切さを訴えました。

「非正規、シングルで働いていると孤独感があると思うんですが、孤独感と疎外感は違うと思うんです。会社では正社員との関わり方に線を引かれるようなところがあるので、疎外感を感じざるをえないんですけど、『遠くの同僚』とつながっていくことで疎外されない人生があると思う。孤独と疎外を間違える瞬間があると思うんですけど、そうじゃないんだというところで、しぶとく生きていけたら」

一方の大原さんは、会場を訪れた人に、次のようなメッセージを贈りました。

「みんなそれぞれ、いろんなかたちで生きづらさがあって。私はたまたま独身で、自分でなんとかすることができるのでこういう生活ができるんです。自分でなんとかできる人はそれでいいし、制度や法律を利用して生きていく方法もある。大事なのは自分の生きづらさが軽減すること。使えるものは何でも使っていってほしいです」

 

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