20代女性起業家が”消えるタトゥー”に注目した理由、「ジャグアタトゥー」の魅力とは

ジャグアタトゥー・アーティストの池上奈津美さん(撮影・西島本元)

女装する小説家・仙田学が自立した女性の生き方やライフスタイルに迫るこの連載。今回紹介するのは、ジャグアタトゥー・アーティストで起業家の池上奈津美さん(25)です。ジャグアタトゥーとは、”消えるタトゥー”のこと。フルーツを原料としたインクで施術するので1~2週間で消えて、痛みもありません。

池上さんはそのジャグアタトゥーを施術するサロンを経営する傍ら、日本ジャグアアート協会の会長を務め、講座やワークショップの運営をしています。日本でいち早くジャグアタトゥーに目をつけ、業界を盛り上げてきた池上さんに話を聞きました。

「ジャグアタトゥー」とは

胸元に入ったジャグアタトゥー(提供・池上奈津美)

ーージャグアタトゥー・アーティストになろうとしたきっかけは?

池上:子どもの頃から絵を描くのが好きで、鉛筆や絵の具でカラフルなものを描いたりマンガを描いたりしていました。大学に入ってからは、他人の求めるものを表現する喜びに目覚め、創作活動をしていたのですが、大学2年生のときに金銭的に厳しくなって休学することになったんです。家賃が払えなくなってアパートを引き払い、キャリーバッグひとつ抱えて友達の家を転々としました。そして、京都の祇園のスナックやラウンジ、キャバクラなどで働いてお金を貯めがら、また絵を描き始めたんです。

そんなときにジャグアタトゥーに出会いました。たまたまツイッターで見かけて、ピンときました。当時はやっている人がまだほとんどいなくて、調べても何も情報が出てこなかったのですが、これしかないと思い、独学で勉強を始めました。

腕に入ったジャグアタトゥー(提供・池上奈津美)

ーージャグアタトゥーとはどんなものなのでしょうか?

池上:ジャグアタトゥーは、”消えるタトゥー”です。原料がフルーツなので、1~2週間で消えるんです。お風呂に入っているうちに少しずつ退色して、消えていきます。痛みがないので敏感肌の方でもできますし、どんなデザインも可能です。自社製品のインクにはヒアルロン酸が入っています。髪の毛を染める感覚に近いですね。

ジャグアタトゥーの協会を設立

業界を牽引してきた池上奈津美さん(撮影・西島本元)

ーーどんなふうにお仕事に繋げていかれたんですか?

池上:最初は物々交換から始めました。ジャグアタトゥーを描く代わりに泊めてもらったりご飯を食べさせてもらったり。そのうち、SNSで集客を始めました。半年ほど経った頃に、ツイッターで拡散されるようになって、お客さんが急に増えました。お客さんは、タトゥーを入れてみたいけど諸事情あってできない方や、タトゥーを入れる予定があるのでその前にお試しで入れてみたい方など、さまざまです。価格は、1件500円から始めて、1000円、5000円と上げていきました。地道にコツコツ続けていくうちに、毎月100人くらいお客さんが入るようになりました。

ーー毎月100人のお客さんですか。すごいですね。

池上:でも忙しくなりすぎて、23歳の夏に体を崩して働けなくなったんです。結局、3カ月ほど休むことになりました。その後に会社を立ち上げ、人を雇うようになりました。さらに、ジャグアタトゥーのための「日本ジャグアアート協会」を設立しました。当時はジャグアタトゥーのサロンがなく、ガイドラインも整備されていなかったので、常に悩んでいたんです。参考にできる先人もいない。それなら発想を変えて、「自分で協会を作っちゃえ」と設立しました。

この業界は、これからどんどん人が増えていくと思います。相場は時給5000~1万円。露出の増える夏は繁忙期になりますし、食べていくのが難しいアーティストが副業でやるにはいい業界なんです。協会で運営している講座には、つねに10~20人の受講生がいます。趣味でやりたい方から仕事にしたい方までさまざま。検定も行っているので、これからサロンを始めたい方は受験するといいと思います。

自分と向き合う時間が必要

今後について語る池上奈津美さん(撮影・西島本元)

ーー今後はどのような展開を考えているのでしょうか?

池上:今後はジャグアタトゥーを仕事にできる仕組みを作ったり、より多くの人に知っていただける機会を作ったりしていきたいと思っています。私自身、ジャグアタトゥーを始めてたくさんの人に出会い、本当にやりたいことを見つけられたと思います。自分らしさや自分だけの働き方に悩んでいる人、自分の芸術的才能を発揮したい人が、ジャグアタトゥーに挑戦して、自分の人生を豊かにしてもらえると嬉しいです。

また、プライベートでは海外に行く頻度を増やし、感性を豊かにしていくと同時に、執筆にも力を入れていきます。絵は昔から描いていますが、実は文章を書くことも大好きなことの1つです。今年の7月には、ジャグアアートの世界観を写真とエッセイで伝える本を出版する予定です。ジャグアアートのキットも付いているので、挑戦したい人にはおすすめの本です。

足に入ったジャグアタトゥー(提供・池上奈津美)

ーー海外にも行かれる予定なのですね。

池上:もともと旅が好きだったし、自分と向き合う時間がほしいと思っていたんです。友達の家を転々としたり、引っ越しも頻繁にしたりして、放浪癖はあったんですよね。ジャグアタトゥーを広めながらの海外生活も考えています。

これまではお金のことや漠然とした不安が原動力になっていて、成功したいと思っていました。だけど、成功ってキリがないんですよね。「成功=幸福」ではないとわかったんです。これからは自由に好きなところに行って、会いたい人に会って、感じたことを表現していきたいです。

 

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