シンガポールで働く美容師、「学び直し」でさらなるステップアップ目指す

シンガポールで美容師をしている沖一秀さん

ひとり時間をリカレント教育(学び直し)にあてて、キャリアチェンジを図る社会人にインタビューをするこの企画。今回紹介するのはシンガポールで美容師をしている沖一秀さん(34歳)です。

もともと海外志向だったという沖さんは、日本で10年弱の勤務期間を経て、2015年にシンガポールに移住しました。その後、さらなるステップアップを目指し、オンラインで学習できる大学に入学して、経営を学びます。「学び直し」は、沖さんにどのような影響を与えたのでしょうか。話を聞きました。

シンガポールで、美容師として働く

ーー沖さんのこれまでのキャリアについて、お聞かせいただけますか。

沖:私は広島県の出身です。高校卒業後に上京し、美容の専門学校に進学しました。手に職をつけたいと思っていて、その中でも美容師がいいかなと思ったんです。

卒業後の20歳から、美容師として南大沢(東京・八王子市)の美容院で勤務を開始し、29歳でシンガポールに移住しました。それから、かつて一緒の店舗で働いていた同じ美容師の妻と結婚し、現在は1歳の娘と3人で暮らしています。

ーーシンガポールに移住したのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

沖:もともと、社会人になったころから海外で働きたいという思いがありました。中国やベトナムも考えていたのですが、日本と比較的生活習慣が近く、ネットワークも整っているシンガポールを選んだんです。私が働いている店舗のある町は、日本で言えば銀座のようなにぎわいで、毎日が活気にあふれていますね。私の勤めている店舗でも、多い時は一日40人ほどのお客さんが訪れます。

ーー沖さんは、ご自身の美容師としての特色は、どのような点にあると思われますか。

沖:コンサルタントのような側面も強いことかと思います。私はこれまでの経験で、管理のしやすい髪型や、日常生活にぴったり合うような髪型の知識をたくわえてきたので、どのような髪型が合っているか、来店される方の相談をじっくりと聞きながら決めていきます。そしてお客様からも、満足の声をいただくことができています。

私が得意なのは白髪にハイライト(髪の一部分だけを明るく染める技術)を加えることで、よりさわやかな印象を与えることができます。

「学び直し」を始めたきっかけ

沖さんの勤務する美容室の内装

ーー移住後に学び直しをされたのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

沖:最初は異国ということもあって、毎日が新鮮な気持ちで仕事をしていたんですけど、半年くらい経って、日々のルーティンはそれほど日本と変わらないと思うようになりました。そして、次のステージに行くためには自身が進化しなくてはならないと思って、質の高いインプットをする必要があると思うようになったのです。

ただ、仕事との兼ね合いを考えると、学びに費やせる時間は限られていたので、どうすればいいかと思っていたところ、オンラインで学べる大学を見つけたんです。時間に融通が利くことにメリットを感じ、入学を決めました。

ーー大学ではどのようなことを学ばれましたか。

沖:所属していたのは経営学部ですが、大学では知識を身につけるよりも、実践に重きを置いていました。たとえばグループワークで「カフェを作ろう」といった課題が出るのですが、場所や価格設定、また内装などはどうするか、「経営」は普段の業務でも常に求められる視点ですし、そこをより実践的に考えられたことは大きかったと思います。

また、その過程では、時間のやりくりの仕方も学びました。グループワークもオンラインで行われるので、限られた中で成果を出さなければならず、会議で話し合うことの精度もより高めることが求められたんです。

「学び直し」で役立ったこと

ーー学びは、どのような点で役に立ったと思われますか。

沖:まずは技術面ですね。所属する大学ではITや英語が軸になっているのですが、ITの知識を身につけて、実際に仕事に生かすことができました。具体的には、店にタブレットを導入して、紙の雑誌を電子書籍に変えたり、店のブログやドリンクのメニューなどを表示できるようにしました。

また、店の客は日本人もいれば現地の人もいますが、メニューで多言語対応ができるようになったことも大きいです。前からそうした構想は持ってはいたのですが、自身が技術を得たからこそ、実現できたことだと感じています。

ーーそれはすばらしいですね。

沖:学びが役立ったという点で言えば、英語の能力もあります。単に単語を覚えるというだけではなく、経営を思考するツールとしての英語力が求められたので、英語力を身につけることで、よりグローバルに「経営」を考える能力も備わったと感じています。

さらには、マインドの面でも大きかったと感じています。お話ししたように大学で得た知識を実際の仕事で活用できたことで、自分の成長を実感できましたし、何歳になっても、どういう環境でも、自分を更新することはできるんだと思うようになりました。

ーー今後の目標を教えていただけますか。

沖:短期的な目標で言えば、WEBマーケティングに力を入れて、利益を生めるようにしていきたいと思います。そのための技術は日々学んでいます。長期的に言えば、「生涯学習」を続けることです。

大学の学びは4年間と長く、学んだことの一つひとつは、どのように自分の財産になるかはわからないこともあります。しかし、学びを続けていくと、自分の中で次第に有機的につながっていくことがわかってきました。目先の利益だけで考えずに、生涯学び続ける姿勢を大切にしていきたいと思っています。

 

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