「結婚して幸せになった人を見たことがない」デートが億劫と感じるアラサーSEの本音

システムエンジニアとして働く中島さん(仮名)

近年、結婚しない人が増えています。50歳までに一度も結婚したことがない人の割合を表す「生涯未婚率」は、2035年に男性で29%、女性で19.2%になると推計されています。男性の4人に1人以上、女性のおよそ5人に1人が、”生涯未婚”になる時代がすぐに来るのです。

結婚しない人の中には、結婚したくてもできない人もいるかもしれませんが、あえて独身でいることを選ぶ人も増えています。都内の会社でシステムエンジニア(SE)として働く中島裕也さん(仮名・29歳)も、そうした人の一人です。なぜ結婚したいと思わないのでしょうか。学生時代の恋愛事情や趣味を通して、中島さんの結婚観を紐解いてみました。

恋愛とは無縁な男子校時代

ーー10代の頃はどのような学生生活を送っていたんですか。

中島:中学・高校と都内の男子校に通っていました。中高一貫の進学校です。高校時代は、天文部に所属していて、星を眺めたり、気象図を作ったりしていました。

ーー私も中高一貫の女子校出身です。男女別学だと、学外の異性と合コンをしたり、付き合ったりする人も中にはいると思いますが、恋愛と無縁の学生時代を過ごす人も多いのではないでしょうか。

中島:高校時代、周囲に恋人がいる人はいませんでした。興味がある人はいたのかもしれませんが、なにせ接点がありませんからね。文科系の部活ですと、発表会や勉強会で女子のいる学校に行くことはありました。しかし部員には内気な人が多く、交流は生まれませんでしたね。

ーー男子校や女子校出身者だと、異性との接し方が分からない人が多いと言われますが、どう思いますか。

中島:日常の接し方ではほとんど苦労しませんでしたが、交際にいたるような親密な関係の築き方がよく分からなかったですね。そういう意味では、異性との接し方が分かっていないのかもしれません。そういえば、大学に入ってすぐに彼女ができた高校時代の友人は、だいたい姉か妹がいたような……。

ーー大学は都内の国立大学に進学されたそうですね。女性もいたと思いますが、恋愛やお付き合いに発展することはありましたか?

中島:大学時代は、ボランティア活動をしているサークルに入っていました。僕はあまり人付き合いが好きではなく、いろいろな人と浅く広く付き合うことができませんでした。結局、同性の友人と仲良くなっただけでしたね。

人に対して一線を引いてしまうところがあるんです。『こちら側の人』か『あちら側の人』なのか線引きしてしまうところがあって。この人なら大丈夫だと思える女性はあまりいませんでした。

初めて彼女ができるもデートが億劫に

ーーこれまで一切お付き合いをしたことがないのですか。

中島:大学院に通っている途中で初めて彼女ができました。きちんと付き合っていたのは半年くらいです。結局、別れられずにズルズルと3年くらい付き合っていたのですが……。

付き合っているときは、恋人関係を維持するのが大変でした。月に1回以上会うのも次第に億劫になっていきました。僕は元々、外出したり、人と交流するのが好きではなく、人と会うのは隔週が精一杯。それなのに彼女と月に数回以上の頻度で会うのは重荷でした。

友人のうちはお互いにタイミングが合うときに会えばいいのに、付き合い始めるとある程度の頻度で会うのが義務のように感じられ、途端に重荷として感じられるようになってしまいました。

ーーこまめに連絡を取り合ったり、デートしたりするのは面倒ですよね。毎週欠かさず会っているカップルってすごいなと思います。

中島:連絡の頻度が合うかどうかも重要ですよね。僕はどちらかというと”連絡不精”なんですが、彼女はLINEを1日に何通も送ってくる人でした。面倒臭くなってしまい、3通に1通くらいしか返信していませんでしたね。

そう考えていくと、僕は「彼氏」という役割を負担に感じていたのかもしれません。彼女の愚痴を聞くのも、友人のときは負担に感じなかったのですが、付き合い始めた途端に聞くことが義務になったように感じて面倒になってしまいました。付き合い始める前は、仲の良い友人だったので、友人のままでいた方がよかったと思います。

結婚しない人が増えている(出典:「平成29年版 厚生労働白書」の図表1-1-2「50歳時の未婚割合の推移」)

結婚して幸せになった人を見たことがない

ーー今後、恋人を作ったり、結婚したりしたいという気持ちはありますか。

中島:気の合う人がいれば、付き合うことにやぶさかではないのですが、結婚はしたくありません。結婚して、幸せになった人を見たことがないんですよね。不満があっても簡単に別れられないので、ズルズルと一緒にいる話をよく聞きます。

これも「友だち」という関係とは異なり、契約を結ぶことの嫌な点だと思います。友だちだったら、喧嘩したり、会いたくなくなったりしたときは少し距離を置けばいい。でも結婚したらそうはいきません。

そういえば、彼女と付き合っていたときに、勝手に住む場所を決めたら、不平をこぼされたことがあるんですよ。例えば、住む場所を決めるときに相手の都合も考慮しないといけないとしたら面倒ですよね。あるいは、仕事すら勝手に変えられなくなるかもしれない。

ーー現状では、結婚したら同居が当たり前のように考えられています。思い付きで好きな街に引っ越したりできなくなってしまう。どんどん結婚するのが嫌になってきました(笑)

中島:仲のいい友人に結婚している人がほとんどいないんですよ。唯一結婚しているのがベンチャー企業を経営している友人なのですが、彼の結婚式に出席しても「羨ましい」とは全く思えなくて……。 「幸せな家庭のパッケージ」を見せられているなと斜に構えた気持ちになってしまいました。

なんといっても、子どもがほしくないんです。小さい頃は言葉が通じず、成長したら言うことを聞かないなんて、大変じゃないですか。子どもを見ても可愛いとは思えませんね。意思疎通はできないし、放っておくと死んでしまうなんて怖すぎませんか。

どうしてみんな子どもが欲しくなるんでしょうね。30歳を過ぎると、人生に変化がなくなって子どもの成長を楽しみたいと思うようになるんでしょうか。その気持ちには少し共感できる気もしますが、親の満足に子どもを使うのも違う気がします。

休日はPCゲームに夢中

ーーところで何か趣味はありますか?休日は何をしているんでしょうか。

中島:僕はゲーマーなんです。休日は特に予定を入れず、家にこもってオンラインゲーム(MMO)をずっとやっています。時間がかかるタイプのゲームなので、休日を丸ごと使えるのが大事なんです。

仲のいい友人とDiscord(ゲーマー向けのコミュニケーションツール)のグループを作っていて、話したくなったら、そこに書き込むと誰かが反応してくれるんですよ。ボイスチャットの機能もあるので、通話も可能です。ここでの交流で満足していて、これ以上リアルな友人を増やしたり、恋人を作ったりしたいと思わないですね。ゲーム以外にも、読書をしたり、NetflixやYouTubeを見たりして過ごしています。

ちなみに、僕は決して私生活を投げうって仕事に打ち込みたいというタイプではありません。出世欲も、将来の夢もありません。楽しく長生きできればいいと思っています。

ーーまだまだ「結婚するのが当たり前」という考えが根強くあると思います。そうした価値観に対してどう思いますか?

中島:結婚したい人はすればいいと思いますし、結婚したいのにできないのは不幸なことだと思います。でも、みんな本当に「結婚したい」と思っているのでしょうか。「結婚=幸せ」という思い込みがあったり、みんながしているから自分もしなくちゃと思ったり……。必ずしも結婚しなくてはいけないというものではないと思います。

 

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